イギリス、電子たばこ利用者が320万人に 「害少ない、禁煙できる」と人気
◆電子たばこなら、紙巻たばこが楽にやめられる?
ランキングで13位だったイギリスでは、肺がんで亡くなる人が最も多い。がんの主要因は、不健康な食生活、運動不足、飲酒、喫煙で予防できる事柄ばかりだが、がんも含めて病気にならないためにこれらの習慣を改善しようと行動を起せない人は多いのだろう。
そんな状況を少しでも変えようと、イギリスで喫煙に関して新しい動きが出ている。紙巻たばこから、健康への害が少ないとされる電子たばこ(通常はニコチンを含む液体を加熱して、その蒸気を吸引する。ニコチンなしの液体もある。別名eシガレット)に切り替えようと社会が奨励しているのだ。この意識が人々の間に広まってきて、2018年は320万人が電子たばこを吸っている(5割が完全に切り替えた人、4割半が切り替えを試みている人)と推測されるまでになった。調査は民間の健康推進団体Action on Smoking and Health(ASH)が毎年行っているもので、6年前の第1回目の調査と比べ4倍以上も増えた(BBC)。
BBCによると、英国公衆衛生庁は今年初め、電子たばこのおかげで禁煙できた人が目立ったことから数年内に電子たばこを処方箋で手に入れることができるようにすべきだと提案した。また、電子たばこは紙巻たばこよりも約95%も健康に害を及ぼさないとし、患者が電子たばこを吸えるよう病院でも販売してはどうかという案も出した。
ASHの責任者、デボラ・アーノット氏は「イギリスの政策は正しい方向に向かっている。おかげで何千人もの(紙巻たばこの)喫煙者が電子たばこに切り替えて、より健康になっている」と話している。禁煙について研究を行い情報提供する社会的企業に勤務していたロンドン大学キングス・カレッジ上級講師のレオニー・ブローゼ氏も「電子たばこが紙巻たばこと同じくらい害があると心配している喫煙者もいるため、英国公衆衛生庁やほかの団体による働きかけは大切だ。今後も切り替えを奨励していくべきだ」と述べた。
◆電子たばこの短所
はたして、電子たばこは魔法がかかった優れたアイテムなのか。ヘルスケアの出版社Healthline Media UKのサイト『Medical News Today』には、次のような電子たばこのリスクが挙げられている。
・ほとんどの電子たばこがニコチンを含んでおり常習性があり脳に影響を及ぼす
・ジアセチルという物質が肺に放たれて閉塞性細気管支炎(通称ポップコーン肺)を引き起こす可能性がある
・電子たばこを吸うことで禁煙治療をやめてしまう
・煙には発がん性物質が含まれるので受動喫煙を減らすことはない
電子たばこを吸った10代は紙巻たばこを吸い始める傾向が強い点も気になるところだ。最近の研究では、ネズミの実験で電子たばこの煙が肺や膀胱や心臓に害を与えることもわかった。
新型たばことしては、日本では電子たばこではなく、加熱式たばこ(たばこ葉を燃やすのではなく、加熱してその蒸気を吸引する)が人気だ。原田隆之・筑波大学教授は、加熱式たばこは科学的に見て相反するデータがあるため、現時点では加熱式たばこの害が少ないと言い切ることはできないと述べている(現代ビジネス)。
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