婚外子の割合が増えるヨーロッパ、70%の国も 変化する結婚への意識
◆事実婚の両親と暮らす子供の割合が増加
婚外子は生まれたときやその後、両親が事実婚で一緒に暮らしている場合もあるし、シングルファーザーやシングルマザーで一人親の場合もある。国連で25年以上、人口推移の分野で働いたジョセフ・シャミー氏はこの点にふれ、OECDに加盟する33ヶ国(EU加盟国22ヶ国と日本を含むその他13ヶ国)では、新生児から17歳までの子供が事実婚の両親と住んでいる割合が増えていると述べている(米イェール大学の『YaleGlobal Online』)。
表3では、表1で示した国々(日本と韓国は除く)について、事実婚と一人親の内訳を挙げた。事実婚で婚外子をもつ人たちが少なくない様子がはっきりとわかる。
◆婚外子増加の背景 事実婚は社会的タブーではない
ユーロニュースの記事では、アイスランドで婚外子の新生児の割合が多いのは、同国で進歩的な考え方が広まっているためだとしている。具体的には、アイスランドでは結婚すること・結婚していることを求める社会からのプレッシャーがなく、シングルマザーでいることに対しても人々が善し悪しの判断をしない点、そして結婚か未婚かにかかわらず福祉が充実している点を指している。
フランスでは、結婚という形とは違う、共同生活の契約PACS(連帯市民協約)が関係しているからだろうという。2016年の婚姻件数が23.3万に対しPACSの登録数は19.2万と、PACSがフランス社会に定着していることがわかる。
シャミー氏は、世界的に見て多くの国で、子供を育てたり長期的に親密な関係をもったりすることを目的として結婚する必要はないという風潮が広まっていると指摘する。
事実婚は、男女とも、結婚のシミュレーションというよりは、本当にそういった関係を築きたいのかどうかを確認するものであって、若い人たちにとっては、結婚して離婚した場合の法的、心理的、経済的負担を避ける「離婚の防御策」でもあると言う。女性が以前より経済的、社会的に自立していることも事実婚には関係している。
ちなみに、一人親の割合が多いのは、ラテン系の影響を受けているアフリカの国々で、40%近くがシングルマザー、4%がシングルファーザーだという。
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