韓国、「他者への信頼」が大きく低下 「大部分の人を信頼できる」は27%に

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◆韓国の大学生の8割「高校は戦場」
 OECD24ヶ国が参加する国際成人力調査(PIAAC)によれば、教育を受ける期間と対人信頼度には相関関係があるとされる。高度な専門スキルを身につけた成人は、スキルの乏しい成人と比較して「雇用される可能性は2倍」「平均以上の給与を得る可能性は3倍」近くになり、より他人を信用する傾向がある。

 しかし、韓国では、教育期間の増加に伴う対人信頼度の上昇幅は北欧諸国と比較して小さい。通常、他人を信頼する割合は高学歴ほど高く出るが、韓国はこのような相関関係が北欧諸国より薄い。

 この傾向を裏付ける調査結果も出ている。昨年、韓国開発研究院が韓国、中国、日本、米国など4ヶ国の大学生1000人を対象に行ったアンケート調査では、韓国人大学生の81%が「高校は命をかけた戦場」と回答した。他3ヶ国(中国41.8%、アメリカ40.4%、日本13.8%)と比較すると韓国の教育環境の過酷さがわかる。「ともに時間を過ごす場所」と回答した韓国人は12.8%にとどまる一方、日本は75.7%に達した。

 調査を行ったキム・フイサム研究員は、「韓国の大学生の対人信頼度は相対的に低い水準だ」と述べ、相互信頼という社会資本を育てるために根本的な授業方式から変えなければならない、と主張する(聯合ニュース)。

 韓国人の他人への警戒心が人一倍強いことがわかった今回の調査。財閥や社会に対する不信感が募る現状を見ると、互いに信頼できる社会を構築するのは簡単ではなさそうだ。

Text by 古久澤直樹