「移民のせいで米国変わった」発言の米TV司会者、KKKから賛同され主張修正

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◆民主党はイングラハム氏に反発、白人至上主義者は賛同
 この発言はもちろんすぐに炎上した。民主党のテッド・リュー議員(カリフォルニア州)はツイッターで、「私が軍隊入りしたのは、あなたが人種差別的な発言をする(言論の)自由を守るためだ。アメリカは人種や人口統計ではなく、人生と自由、幸福の追求を基礎にして築かれた大胆で美しいアイデアなのだ。あなたが、私や他の人以上にアメリカ人であるわけではない」と反論。

 一方、イングラハム氏の発言は移民排斥を主張する極右派から賛同を受けた。その1人が、人種差別団体クー・クラックス・クラン(KKK)のリーダーで白人至上主義者のデービッド・デューク氏である。米情報サイト『デイリー・ビースト』の8月9日付記事によると、同氏は8日、ツイッターでイングラハム氏の発言を称え、「メインストリームのメディア史上で最も重要な(真実の)モノローグだ」と述べた。

◆問題発言の翌日「人種や民族に関係ない」と弁解
 しかし、左派を含む多くのアメリカ人から「人種差別主義者」とシュプレヒコールを浴び、極右派から支持の声を受けたイングラハム氏は、ここで焦ったらしい。これ以上「人種差別主義」のレッテルを貼られ、デービッド・デューク氏のような人物に支持を受けることは、残った数少ない広告主をさらに失う結果となるからだ。広告主を失えば、自分自身がクビになることは目に見えている。

 デイリー・ビーストの8月9日付記事によると、同氏は翌日の番組モノローグで手のひらを返したように、「昨夜私が言いたかったことは、法の秩序、すなわち国境の警備が、この国を団結させるということだ」「私は、自分のコメントが人種や民族とは関係ないことを明白に主張した」と述べ、デューク氏ら白人至上主義者が「私の意見を捻じ曲げている」と非難した。

 今回のイングラハム氏の発言について、現在のところまだ広告主は撤退を行っていない。イングラハム氏は今回の騒動が蒸し返されることを恐れ、しばらくはまた鳴りを潜めることだろう。

 イングラハム氏は、今回の発言を糾弾する声がアメリカ国内でひときわ大きかったことに、自分に賛同したのが一般のアメリカ人ではなく、デューク氏のような白人至上主義者であったことに驚いたのかもしれない。今回の件で、このような意見がアメリカ人の大半に受け入れられることはないという事実に、同氏が改めて気付いたことを祈る。

Text by 川島 実佳