「溶岩見学ツアー」を切望するハワイの町 観光業が苦境も、依然危険な状態

U.S. Geological Survey via AP, File

 ハワイのキラウエア火山が噴火している息をのむような光景が世界中の人々を魅了している。しかし皮肉なことに、住民や観光客は現場で溶岩を見ることはほとんど不可能だ。この事実が観光収益に依存している地域経済を圧迫している。

 ハワイ島の観光業は溶岩の見学スポットを要求しているが、当局者は、人々の安全を確保しながらも溶岩を見学できる場所を設けるのは困難だと回答した。

                                                                                                                 

 16日に溶岩が海へ流入する時に爆発を引き起こし、バスケットボール大の高熱の岩石が飛び散ってツアーボートの屋根を破壊した時に、火山がもたらす危険は誰の目にも明らかになった。この時、1人の女性が足の骨を折る大怪我をし、20人近い人々が軽い火傷や擦り傷を負った。
 
 ハワイ郡の研究開発ディレクターを務めるダイアン・レイ氏は、連邦の科学者たちと同郡の民間防衛管理者と連絡を取り合いながら2ヶ月近くにわたって安全な溶岩の見学スポットの設定に取り組んでいる、と話した。そして、ツアーボート上で発生した負傷は、郡の警告が正当なものであることを立証する形になった、と同氏は言った。

「火山による災害や放出ガスから身を守ることができ、しかも多くの人が訪れて火山を観ることができるような場所を探すことは、我々にとって大きな挑戦だ」とダイアン氏は語る。

 それでもなお、ハワイ島で商業を営む人々やツアーガイドらからの圧力がますます高まっている。キラウエア火山が住宅地の近郊で噴火し始め、5月には家々が焼失する事態となって以来、当地では観光収入が減少しているのだ。

 パホアのダウンタウンは、キラウエア火山から流れ出た融けた溶岩の川が海へ流れ込んでいる場所から数マイル離れているが、特に大きな打撃を被っている。小さな田舎町のパホアは、普段であれば最も人気の高い観光スポットであるハワイ火山国立公園の玄関口として機能しているが、現在、同公園は訪問者や公園スタッフに危険が迫っているとして無期限に閉鎖されている。

 つい4月までは、旅行者は同公園の溶岩湖にある融けた溶岩を眺め、流れ出る溶岩を観察できる離れた見学スポットまでのハイキングを楽しむことができた。

 ハワイ州のラッセル・ルダーマン州上院議員は、旅行者をパホアに呼び戻すために郡は急いで溶岩の見学スポットを設ける必要がある、と述べた。

「我々の町が急速かつ劇的に息を引き取りつつある」と、パホアで自然食品の販売店も経営しているルダーマン氏は語り、「私たちの町で自由にビジネスを行うことができる、ということを公表できれば町を救うことができるのだから、溶岩の見学スポットは不要だ」と話した。

 現在、1人およそ250米ドルを払ってヘリコプターやボートを使ったツアーに参加すれば、溶岩を直接見ることができる。

 溶岩が地面から噴き出している地域は、強制避難命令が敷かれている。近隣の住民であれば帰宅することも可能かもしれないが、郡は、科学者や、州兵など当局者、そして護衛を伴った一部のメディアを除いて、人々の立ち入りを制限している。

 当局は違反者を厳重に取り締まり、立ち入りが制限された被災地を徘徊していた80人以上の人々に対し出頭命令を下した。

 キラウエア火山は、35年以上も連続して噴火し続けており、これまで長い間、観光客を呼び寄せてきた。ホノルル・スター・アドバタイザー紙は、1990年5月に溶融岩がゆっくりとカラパナの町を破壊した時には1日におよそ5,000人もの観光客が押し寄せ、郡公認の溶岩見学スポットに下り立ったと報じた。しかも、この見学スポットから見えた溶岩は熱く流れる溶岩ではなく、冷えて固まったものだったにもかかわらずこれだけ多くの人が訪れた。郡の作業員たちは、観光客のために、代わりに触れることのできる新しい冷えた溶岩の塊を運んで見学スポットの傍らに置いた。

 レイ氏は、キラウエアは以前とは違う様態の火山活動を行っており、溶岩は別の箇所から湧き出た後に誰も住んでいない無人の荒野地帯を流れている、と言う。そして、より大量の溶岩が噴出している。現在は1秒当たり3,500立方インチ(100立方メートル)の溶岩が噴出しているが、2年前の噴出量はわずか141立方インチ(4立方メートル)だった。

 レイ氏は、いつ郡が準備を整えることができるのかはわからない、としながら、自家用車ではなくツアーバスのみがアクセスできる溶岩見学スポットの開設を想定している、と言った。そして、同郡は、条件が許せばいくつかの見学スポット候補地を選んで開設するだろう、と語った。
 
 エピックラヴァツアーズの代表であるジョン・ターソン氏は、現在発令中の数々の制限によって被害を受けている、と言った。

「数々の制限によって、実際私の商売は大打撃を被っている。当局が観光業の再開を認めない限り、また、溶岩を見たいという人々を犯罪者扱いするのをやめない限り、何一つとして打つ手がない」とターソン氏は言う。
 
 そして、同氏のような長年の経験を誇る熟練のガイドであれば、安全に溶岩を見学するために観光客を案内することができると主張する。しかし、なじみの顧客たちは、溶融岩を見に行く許可は下りないだろうと考えているため、新年に同地を訪れる予約を次々とキャンセルしている。

 メインストリートパホアアソシエーションの代表、マシュー・パーヴィス氏は、パホアのレストランや小売店は売り上げの50パーセントから90パーセントを失ってしまったと語る。多くの住民が自宅を失い引っ越したことが影響しているが、観光客がほとんど訪れなくなったことが最大の理由だ。最も深刻な打撃を受けているのは、土産品店のような観光客向けの商売を営んでいる人々である。パービス氏自身の店であるティンシャックベーカリーも、訪れる顧客の数が半減したという。

 ハワイ郡の女性議員であるアイリーン・オハラ氏は、郡はいくつかのツアー会社と契約を締結してパホアの町の中心部から溶岩が地表に噴き出しているレイラニ・エステーツへのシャトルバスを運行すべきだ、と言う。オハラ氏は、バスであれば、いかなる火山性のガスからも車内の乗客を保護しつつ、写真を撮ってもらいながら周回することができる、と述べた。

「郡当局者が可能な限り迅速にこれを実現することがとても重要だ」とオハラ氏は力説する。

 ジョイ・サン・ブエナヴェントゥーラ州議会議員も、シャトルバスを使って旅行者を溶岩見学スポットへ連れていくことを支持しているが、見学者は溶岩を間近で見るためにバスを降車できることが望ましく、さらに旅行者向けの空気ろ過マスクが準備されていると良い、と語る。

同氏は「当地の企業は青息吐息である」として、郡が一刻も早く行動を起こすよう強く要求した。

By AUDREY McAVOY, Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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