レジ袋に“宣戦布告” テロ組織アルシャバブ、支配地域での使用を禁止

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 世界でプラスチック製品による環境汚染が深刻化している。問題解決の一環として、大量に使い捨てられるビニール製レジ袋の使用を見直す動きが広がっており、先進国のみならず、途上国でも使用を禁止する国が増えている。この流れに乗るかのように、ソマリアのイスラム過激派組織「アルシャバブ」は、支配下にある地域でのビニール袋の使用を禁止すると発表した。

◆悪名高き過激派組織 予想外の発表の意図は?
 英インデペンデント紙によれば、アルシャバブのラジオ局、ラジオ・アンダルスは、「人類や動物たちの幸福にとって深刻な脅威」となるビニール袋の使用を禁止するとする同組織の地域リーダーの声明を放送した。同じニュースのなかで、地元原産の木の伐採を禁じることも発表された。

                                                                                                                 

 アルシャバブはアフリカのソマリアで活動するイスラム過激派組織だ。2011年にソマリアの首都モガディシュから撤退を余儀なくされたが、その後アルカイダと合流し、ソマリアおよびその周辺で活動を続けている。特に近隣のケニアでは多くの死者を出す残忍なテロ攻撃を行ってきており、公然と暴力を誇る組織だと言われている。

 英国王立防衛安全保障研究所の対テロ専門家、ラファエロ・パントゥッチ氏は、他の東アフリカ諸国でビニール袋が禁止されたことに触れ、アルシャバブもそういった国々と同様の法律を施行して統治できることを、支配下の民衆に示す狙いがあったのではないかとしている。同氏は、ソマリ半島でのテロ活動のため、禁止されている象牙取引で資金集めをしているアルシャバブの今回の発表は、何とも皮肉な話だと述べている(英エクスプレス紙)。

◆実はエコ・フレンドリー? 環境保護でアメリカ批判も展開
 オンライン上では「環境に優しい」テロだというジョークも出ているが、米ニュースサイト『オブザーバー』は、実はアルカイダとその提携組織は以前から環境問題について声を上げてきたと指摘する。2017年には、タリバンのリーダー、ハイバトゥラー・アクンザダ氏が、アラーを讃えるとともに、アフガン人は環境保護、経済発展、地球の美化において重要な役割を持つ木々をもっと植えるべきだと発言していた。アフガニスタンはソマリアと同様、何十年にもわたる戦争で、水管理と森林破壊に苦しんでいる。

 エクスプレス紙によれば、2016年にはアルカイダのイエメン支部の雑誌が、当時のオバマ大統領の気候変動への取り組みが不十分だと批判する記事を掲載していた。記事はアメリカの政策により環境は悪化しており、大気汚染は深刻で、年間650万人の命が世界で奪われていると指摘。オバマ氏は温暖化と戦う必要性を訴えるが、アメリカは適切な対策を取らずじまいだと断じており、温暖化ガス排出大国に対して、もっともな正論を吐いていた。

◆やり方に不安も トランプ大統領よりは進歩的?
 ラジオ放送では、実際どのようにビニール袋を禁止するのかについて言及がなかった。インデペンデント紙は、無差別に暴力をふるうことで、民衆を従わせるだろうと見ている。

 オブザーバーは、トランプ米大統領が先のG7会合で、プラスチックによる海洋汚染の問題で他の首脳たちとの関係を壊し、プラスチック削減を盛り込んだ共同声明にも署名しなかったことに言及。アルシャバブでさえもプラスチック削減で環境負荷の低減に取り組もうとしているとし、逆方向に進むトランプ氏に落胆の色を見せている。

Text by 山川 真智子

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