韓国女性の77%、堕胎罪の廃止に賛成 中絶めぐる議論が過熱

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◆妊娠経験者の4割超「中絶したことある」
 回答者のなかで実際に中絶を経験したことがあるのは21%だ。妊娠経験者に限ればその割合は41.9%に達する。韓国の法律では、妊娠中の女性が中絶をした場合、自己堕胎罪として「1年以下の懲役または200万ウォン以下の罰金」に処せられる(刑法269条1項)。医師がこれに同意した場合は同意堕胎罪として「2年以下の懲役」に罰せられる(270条1項)。中絶した理由として最も多かったのが「経済的な準備ができていないから」(29.7%)だった。次いで「学業・仕事を続けなければならないから」(20.2%)、「すでに産んだ子供で十分だから」(11%)と続いた。

 堕胎罪で処罰されない例外事由を規定している母子保健法によれば、「強姦による妊娠」「近親間による妊娠」「妊娠の継続が母体の健康に害を与える場合」などは、本人と配偶者の同意を得ることで中絶手術を受けることができる。しかし、今回調査では中絶経験者の98.9%は例外事由に該当しない違法な中絶だったことが明らかとなっている。

◆中絶を許容すべきか否か
 中絶基準については「許容基準を拡大すべき」との意見も多く、堕胎罪維持派でも75.7%が中絶許容基準の拡大に賛成している。母子保健法14条1項の改正をめぐってその賛否が活発に議論されているのだ。2010年の政府調査資料によると、中絶件数は年間16万9000件と推定される(ハンギョレ)。果たして韓国社会が出す答えは堕胎罪の「廃止」か「継続」か。今後の動きに注目だ。

※本文中「中絶賛成派はプロライフ(pro-life)、反対派はプロチョイス(pro-choice)」は「中絶反対派はプロライフ(pro-life)、賛成派はプロチョイス(pro-choice)」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(5/31)

Text by 古久澤直樹