男性の胸が女性のように膨らむ「女性化乳房症」、精油入り製品の使用も要因か

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 男性の胸が自然に膨らむ症状「女性化乳房」のことが、日本でも報道されている。思春期や50~70代によく見られるものの、成人の発症頻度は1万人に3人の割合で少ない。とはいえ、痛みが出ることもあるというから心配になるかもしれない。胸が膨らむのは女性ホルモンの増加による。多くが生理的な現象だというが、特定の病気が原因となっている病的な女性化乳房もある。(病名についてはこちらなど参照)

 この女性化乳房に、先ごろ、身近なエッセンシャルオイル(精油)が関係していると発表された。エッセンシャルオイルは、シャンプー、シャワージェルなどにも用いられている。エッセンシャルオイルが、ホルモンバランスの崩れを引き起こす「内分泌かく乱物質」を含んでいるというのだ(参照「内分泌かく乱物質問題」)。

                                                                                                                 

◆ラベンターオイルとティートリーオイルは、内分泌をかく乱か?
 この発見は、2018年3月、アメリカのシカゴで開催された内分泌学会(the Endocrine Society)の年次大会で明らかになった。研究を行ったのは、米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)のチームだ。同研究所によると、女性化乳房が見られた少年のうち、この2つのエッセンシャルオイルを含んだ製品を使っていたケースが増えており、製品を使うのをやめたら乳房の膨らみが消えたという。

 同研究所は、すでに、ラベンターオイルとティートリーオイルが女性ホルモンの一種であるエストロゲンのような特性と、男性ホルモンの一種であるテストステロンを抑制するような働きを持っていると実験を通して見つけ出していた。男性らしさをコントロールするホルモン分泌が、その特性や働きから影響を受けているのだ。

 今回の発表では、一歩踏み込んだ実験結果を披露した。ラベンターオイルとティートリーオイルを構成している何百もの化学物質の中で、よく見られる8つの成分を分析した。このうち4つの成分は、両方のオイルに共通して含まれている。

◆がん細胞を使って実験
 8つの成分は、人のがん細胞に適用された。その結果、エストロゲンのような特性とテストステロンを抑制するような働きのどちらかを、または両方を見せたという。

 研究を率いたJ.Tyler Ramsay氏は「私たちの社会は、エッセンシャルオイルは安全だと見なしている。だが、様々な量の化学物質を含んでいて、いくつかは内分泌かく乱物質の可能性があるため注意して使う必要がある」と話している。さらに同氏は、今回の実験で使った化学物質の多くが、ほかの65以上のエッセンシャルオイルにも含まれていると指摘している。

Text by Satomi Iwasawa

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