日本人男性の「赤ちゃん工場」スキャンダル、海外も高い関心 タイで代理出産
タイにおける代理出産で、裁判の結果、日本人男性の13人の子どもたちの親権が認められた。このニュースに関し、日本国内の主だったメディアは匿名で報じているが、現地タイの記事では実名で報道がなされている。また米ニュースサイトでは、独自取材によるささやかながら興味深い事実を伝えている。
◆「赤ちゃん工場スキャンダル」の経緯
非常に裕福な日本人男性が、「赤ちゃん工場スキャンダル」の余波で離ればなれになっていたが間もなく代理出産で得た13人の子どもたちと再会するとタイの英字新聞「ザ・ネーション」が伝えている。タイでは2015年に外国人の商業的代理出産が禁止された。
中央青年家庭裁判所は、彼が生物学的な父親であり、子どもを養育するのに十分な経済力があるという事実を考慮して、子どもたちの親権を許可した。「13人の子どもたちが、素行不良歴のない生物学上の父親から受け取る幸福と機会のために、裁判所は代理出産で生まれた13人のすべてが原告の法的児童であることを裁定する」とした。
「次のステップは、社会開発・人間安全保障省と連絡を取り、子どもの世話を引き継ぐことだ」と日本人男性の弁護士であるコン・スリヤモントル氏は話す。
政府当局が2014年、日本人男性が人身売買に関与した疑いで、バンコクの中心部にある高級アパートを強制捜索した際に、同男性はタイを離れていた。隣人たちは、同じマンション内に多くの妊婦や赤ん坊がいるという奇妙な事態から当局に通報していたという。その後子どもたちはタイ政府の保護下に置かれていたが、日本人男性は代理人に定期的に子どもたちを訪問させていた。当時乳児だった、男児8人、女児5人は、すでに幼児に成長している。なお、代理母のほとんどはタイ人である。
日本人男性は、日本の非常に成功している会社の創業者で最高経営責任者の息子であり、彼自身も複数の企業で株式を保有している。1社の配当だけでも毎年1億バーツ(約3.5億円)以上になるという。裁判所によると、日本人男性は認定看護師と乳母を準備することを保証している。
◆クリニックと代理母が語る日本人男性の姿
アメリカの公共放送NPRによれば、インドで生まれた子ども3人などを合わせると、日本人男性の子どもは合計20人と推定されている。
2014年にAP通信は次のように報じているという。日本人男性に2人の代理母をあっせんした多国籍不妊治療クリニックの創設者は、2013年6月に最初の赤ん坊が生まれる前にも、日本人男性についてインターポールに警告したと語った。そのクリニックは、タイ及びその他6ヶ国に拠点を置くニュー・ライフ・クリニックである。創設者であるマリアム・ククナシビリ氏は、「妊娠が分かるやいなや、彼はさらに要求した。彼は年に10〜15人の乳児が欲しいと言った。彼が死ぬまで毎年である。彼は精液の凍結装置についても、年を取っても十分な供給ができるかどうか尋ねた」とAP通信に語った。
またある時、日本人男性はククナシビリ氏に、「選挙で勝ちたい、それには家族が多ければその票が有利に働く」と言った。また、「世界のためにできることは、多くの子どもを残すことだ」と語ったという。
オンラインの代理母募集で採用された露天商はAP通信のインタビューに日本人男性の様子を答えている。「髪はぼさぼさとした肩までの長さで、身長が高く、皺のあるボタンダウンシャツの裾をジーンズの上に出していた」1万ドルを受け取ったという彼女は、「彼は私に何も話しかけなかった。自己紹介もしなかった。彼はただ微笑んでうなずいた。(詳細は)彼の弁護士から説明を受けた」という。
ワシントン・ポスト紙によると、日本人男性は、子どもたちをインターナショナルスクールに入れる予定で、東京の中心部にある大きな公園の隣に住ませるべく土地を買ったという。