一人っ子政策の歪み、結婚できない中国人男性 隣国から誘拐・人身売買も

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◆悪徳業者がはびこる。人身売買で無理やり結婚へ
 海外から来る花嫁は、貧困から脱出するため自ら中国人との結婚を選ぶケースもある。しかし英エコノミスト誌は中国の国境沿いでは誘拐がはびこっているとし、多くの若い女性が人身売買され、無理やり結婚させられていると指摘している。

 同誌は、人身売買の犠牲者は低年齢化していると指摘し、安価なスマートフォンとモバイルネットワークの改善が、ベトナムでの誘拐を容易にしていると述べる。ガーディアン紙によれば、ベトナムでは9500万人の人口の半分以上がネット利用者で、ユーチューブと並んでフェイスブックが、最も人気のあるプラットフォームだという。特に10代の間でフェイスブックが人気で、国境沿いの田舎の村の少女でも、簡単に「オンライン・ボーイフレンド」とつながることができると説明している。

 BBCが報じた中越国境の村の例では、誘拐犯は数ヶ月かけて女性たちの友達または恋人になり、中国での仕事探しを手伝ってやると持ちかける。給料が高く、良い生活ができると信じる女性たちは、家族を助けるためのチャンスだと信じてしまう。喜んでついて行くが、騙されたと気づくのは国境を渡った後だという。エコノミスト誌によれば、誘拐犯は1人中国に連れ出すごとに、50ドル(約5300円)ほどを受け取るという。しかし、仲介業者を経て中国人の花嫁として売られる時には、中国警察の報告では6万元(約100万円)から10万元(約170万円)になっているとのことだ。

                                                                                                                 

◆中国人の文化や考え方も影響。業者摘発は解決策ではない
 ベトナム政府によれば、2017年の1月から3月だけで、300件の人身売買ケースが報告されており、過去3年間だけで8000件の人身売買に関する問い合わせがチャイルド・ヘルプラインに寄せられているという(BBC)。

 中国政府は摘発に動いているが、米政府からは人身売買への取り組みは努力不足と評価され、ベネズエラ、トルクメニスタン、南スーダンと並んで、最低ランクに位置付けられているという(エコノミスト誌)。

 チョウ氏は、人身売買摘発への政府のインセンティブは弱いうえ、外国人花嫁の需要が非常に高いことから、中国の現状は改善しないだろうと見ている。同氏は、巨大な男女格差、結婚への文化的プレッシャー、伝統的な花嫁の家族への金銭的謝礼、抑えの利かない資本主義の容認が、結婚を難しくしていると述べる。よって人身売買解決の道は、犯人逮捕ではなく、結婚にまつわる文化的規範を変えることだとし、まず結婚を経済的取引と見ることを止めない限り、問題はなくならないとしている。

Text by 山川 真智子