なぜ10代の若者は無謀なことをするのか? 最新研究でわかったその意義

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◆脳に欠落があるからという説明の限界
 ドラッグやギャンブルにはまる若者というステレオタイプ像は、若者には脳の欠落があるという説明に一定の説得力を与えていた。しかし、大多数の思春期を過ごす若者は、この時期を物質依存や性感染症、妊娠、殺人などとは無関係に大人になる。また自制心を保つのに問題を抱える10代の若者は、4,5歳のときからその兆候が現れるという研究もあるという。脳に欠落があるからというだけで若者の行動を説明するのには限界があるといえるだろう。

◆新たな説明モデル
 研究では若者のリスクをとる行動の積極的な意義に注目した新たな解釈を提唱している。10代の若者がリスクをとりたがるのは、大人の世界の役割やマナーを身につけるために必要な経験を得るための適応必要性なのだという。ローマー博士は「10代の若者が探検したり、珍しさを探し求めるのは、後の人生で困難な仕事に立ち向かったり、難しい決断を下すために経験を積まなければいけないからだ」と述べている。

 10代の若者のリスクをとった行動は、大人の階段を昇っているということだ。犯罪行為は若さとは関係なく言語道断であるが、そうでない限りにおいては10代の若者が多少はやんちゃな行動をしたとしても、大人になるための成長過程だという目で暖かく見守ることも必要なのかもしれない。

Text by Yota Ozawa