深刻な中東欧の人口減 50年までに10国が15%以上減 存続危ぶまれる国も
中東欧諸国の人口は、今後数十年にわたり劇的に減少する。こんな予測を、国連が発表している。冷戦終結後、共産主義からの転換がスムーズに進まず、経済発展の遅れたこれらの国々からは人口が流失し、働き手も減り出生率も低下している。人口減に伴う社会問題も深刻で、国の存続すら危うくなると指摘されている。
◆高速で進む人口減。元共産圏に集中
国連の予測によれば、2050年までに15%以上人口が減るのは、ブルガリア、ラトビア、モルドバ、ウクライナ、クロアチア、リトアニア、ルーマニア、セルビア、ポーランド、ハンガリーだ。人口力学を分析する、オーストリアのウィトゲンシュタイン・センターの主任調査員、Tomas Sobotka氏は、中東欧の多くの元共産主義の国々は、人口動態的衰退に向かっていると述べる。これらの国々はすでに25年前からすさまじい人口減少を経験しており、一部の国々では、1989年以降、すでに人口の5分の1から4分の1が減ってしまっている(ウェブ誌『クオーツ』)。
同氏は、人口減少の理由として、出生率の低下、他国への移民による大量の人口流出、高い死亡率の3つを上げる。西欧、南欧では、多くの移民の流入により、低い出生率が相殺されているが、中東欧の場合は、他国への移民と低出生率のジレンマに陥っているという。
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