平昌五輪:重くのしかかる閉会後のコスト問題 いまだ解決策見つからず

Ahn Young-joon / AP Photo

 韓国政府は、オリンピック会場となる最新鋭のスケートアリーナを巨大な魚介類用冷凍庫に作り替える案を却下した。冬季オリンピック終了後の施設維持費用をどのように賄っていくのか、その多くがいまだに決まっていない。

 山間部の小さな町、平昌とその周辺では、オリンピック開催に向け準備が進められている。それに伴い、韓国で最も貧しい地域の1つであるこの地では大きな経済的負担への懸念が広がっている。現地の地方自治体はオリンピックを機に平昌が世界的な旅行地になり、経済が活性化することを期待している。今、平昌では経済問題の解消が急務なのだ。

 しかし過去の事例を見ると、オリンピック開催は経済効果が期待できると謳った主催者が、ファンファーレが鳴りやんだ後、深く失望するというケースが多い。

 平昌と近隣の江陵市(スケートとホッケーの試合が行われる海沿いの町)を有する江原道も例外ではない。江原道は韓国政府に対し、五輪後にアスリートが去った後は利用機会がほとんどなくなる新スタジアムの維持費を支払ってくれるよう粘り強く交渉を続けている。しかし、政府は今のところ首を縦には振っていない。

 2018年2月9日に開会する冬季オリンピックにかかる費用は約14兆ウォン(1.4兆円)だ。2011年に平昌が開催地に選出された時点では8兆から9兆ウォン(8000億から9000億円)と見込まれており、当初予算を大幅に上回っていることになる。

 国内からの観光客や漁業以外に、これといった産業のない同地域では、何十年にもわたってないがしろにされてきた、と長い間不満を募らせていた。

「世界的なイベントを成功させたところで、日々の生活に追われる現地住民に何かいいことがあるのか?」と江陵市でレストランを経営するイ・ドソン氏は言う。「そのうえ、大会が終わったら何が残る? 借金だけではないのか」。

Text by AP