銃社会スイス――民間に180万丁、人口比3位も少ない犯罪 その特殊事情

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 先日、久しぶりに、筆者の住むチューリヒから少し離れた町を歩き、商店街で思わず立ち止まった。ショーウィンドーのスペース一杯に、いろいろな銃が飾ってあったからだ。以前は、ここにこんな陳列はなかった。きっと銃を買いたい人が増えているのだろうと思った。

 アメリカは個人が銃を保有する国というのは周知のことだが、安全な国として名高いスイスにも、実は銃を持っている人が多い。スイスの研究機関The Small Arms Surveyの調べ(2011年9月発表)では、住民100人ごとの銃の数は、1位がアメリカで89丁、2位がイエメンで55丁、3位がスイスで46丁だった。以降は、4位のフィンランド(45丁)、6位のキプロス島(36丁)、8位のイラク(34丁)、15位のドイツ(30丁)などと続く。
 
 銃所有に関する国際比較は、実施年や収集データによって統計結果に差が出てくると思われるが、スイスの消費者情報誌『saldo』が、2017年10月25日版で、最近の国内事情を載せていた。同紙によれば、2013年末の時点で、国内には推定180万丁の銃がある。このほかに軍隊用が20万丁だという。スイスでは、18歳から30歳までの男性に一定期間の軍隊訓練が義務付けられている。

 スイスは18歳で銃が購入できる。ちなみに、銃を買える年齢は、アムネスティインターナショナル・スイス内の資料(2010年12月)によれば、ドイツは25歳から、フランス、ベルギー、スウェーデンもスイスと同じく18歳から、フィンランドは親の許可があれば15歳から可能だ。

Text by 岩澤 里美