「新しいアインシュタイン」サブリナ・パステルスキーとは? NASA、ベゾスも注目の24歳

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 若き日のアルベルト・アインシュタインやスティーブン・ホーキンス博士と同じ道を歩む弱冠24歳の女子学生がメディアを賑わしている。彼女の名前はサブリナ・パステルスキー。マサチューセッツ工科大学(MIT)を最高の成績評価値を得て卒業し、ハーバード大学で博士号取得を目指す才女で、物理学界のホープとして注目されている。

◆12歳で飛行機を製作。幼少時から才能が開花
 パステルスキーはキューバ系アメリカ人で、シカゴの郊外で育った。幼いころから「地球の上にあるもの」に興味を持っていた彼女は、生まれながらに才能を持つ子どもたちが学ぶEdison Regional Gifted Centerに通い、将来人類を火星に送るという夢を持ったという。9歳から小型機の飛行訓練を受け始め、初飛行で空から見る景色の素晴らしさ、上空で味わう気持ちの良さを経験した。すべてが小さく見えることが、自分に新しい展望を与えてくれたと、彼女はシカゴ・トリビューン紙に話している。

 豪情報サイト『Pickle』によれば、彼女は10歳の時に中古のセスナ機を祖父からプレゼントされている。故障の多いセスナ機の直し方を学ぼうと、自らエンジンの組立てスタンドと中古パーツをeBayで買い、自室の外でセスナ機のエンジンの組立てを練習した。そして12歳になり本物の飛行機の組立てに着手し、14歳のときに見事完成させてしまった。自作の飛行機は軽量スポーツ機としての認可を受け、その4日後に彼女は処女飛行に出ている。

◆MITとハーバードの著名な物理学者も認めた頭脳
 才能にあふれるパステルスキーは、大学に進学し物理学を学ぼうと決めたが、志望校のMITは補欠、ハーバード大学は不合格だった(注:当時16歳)。ところがMITの2人の教授が、「並はずれた」ポテンシャルを評価し、彼女をMITに迎え入れたという。両教授の見立てが正しかったことは、彼女が5.0という最高のGPA(成績評価値)を得て卒業したことで証明されたと、シカゴ・トリビューン紙は述べている。ちなみに大学に在籍したのは3年間で、卒業時まだ10代だった。

 その後パステルスキーはハーバード大学大学院に進み、量子重力を学んでいる。数々の財団から数十万ドルの奨学金を受けており、最近スティーブン・ホーキング博士との共著を発表したハーバード大の理論物理学者、アンドリュー・ストロミンガー教授からも最高の賛辞を贈られている(豪版ナショナル・ジオグラフィック誌)。豪ニュースサイト『news.com.au』は、彼女はそのたぐいまれな頭脳と、無限の可能性から、「新しいアインシュタイン」と呼ばれ、フォーブス誌が選ぶ「30歳以下の重要人物30人」の常連だと紹介している。

◆メディアの高い注目度。産業界の獲得競争も本格化?
 華やかな経歴を持つパステルスキーだが、私生活では少数の親しい友達と付き合い、ボーイフレンドを持った経験もなく、酒も飲まず、タバコも吸わないという(ナショナル・ジオグラフィック誌)。堅いタイプなのかと思いきや、Pickleによれば、ホンダのバイク、CBR300Rを乗り回し、講演の際には、10センチヒールのパンプスを履くという一面も持っている。その才能ゆえに誤解されることも多いようで、自身のウェブページ「PhysicsGirl.com」にメディア向け事実確認シートなるものを掲載し、「私はただの大学院生。学ぶことはたくさんあって、注目には値しない」と記している。

 シカゴ・トリビューン紙によれば、特定の研究所や企業で特定の研究に縛られたくないという彼女の夢は、博士号取得後、異なった学問分野にまたがる研究室を創設・運営することだという。しかしnews.com.auによれば、アマゾンの創始者で航空宇宙開発にも参入しているジェフ・ベソス氏が、「いつでも好きなときに来て」とすでに公にジョブオファーしており、NASAも彼女の獲得に興味を示しているそうだ。彼女が博士号を取得予定の2020年には、その進路にさらなる注目が集まりそうだ。

Text by 山川 真智子