「日本のシングルマザー環境、先進国で最悪」米メディアが問題視するのは?

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 働きながら一人で精力的に育児もこなす「シングルマザー」は世界中に存在する。経済的に厳しい状況にあることなどを理由に、残念ながら偏見は世界中であるようだ。中でも日本のシングルマザーに対する環境は劣悪との指摘が海外メディアから出ている。

◆厳しい状況に置かれる日本の母子家庭
 日本では片親の家庭(その殆どが母子家庭)の約半数が貧困状態にある。CNNではこの数字を取り上げ、他の先進国よりも高い水準にあると指摘している。アトランティック誌(9月7日)もアメリカの33.5%と比較し、「先進国中、片親(通常母親である)の環境は日本が最悪かもしれない」としている。記事では10歳の娘に新しい靴と下着を買うこともできないという家庭の事例を掲載しており、切実な状況が窺える。

 経済状態以外にも、ワシントン・ポスト紙(5月28日)では、シングルマザーを恥と見る文化を問題視しているようだ。「日本では、シングルマザーたちは貧困と『恥の文化』と闘っている」と表現する。高い道徳観を持つ日本だが、言われなき差別という弊害も生んでしまっているようだ。

 なお、アトランティック誌によると、アメリカで離婚率が減少傾向にあるのに対し、日本では80年と比較して66%も増加している。こうした環境に苦しむ女性は増えつつあるようだ。

◆安定を生むはずの終身雇用制度がシングルマザーを苦しめる
 複数の海外メディアが、日本の「終身雇用制度」がシングルマザーの立場を追いやっているのではないかと見ている。アトランティック誌は日本の終身雇用制度について、慣行は薄れつつあるが、大学卒業から退職まで一貫して1つの企業に勤める仕組みだと紹介し、企業は従業員に長時間、献身的に働くことを期待しているとする。シングルマザーは育児で長時間の労働に当たれないほか、一度企業を退職していることから、再就職も難しくなる。特に大卒女性が再就職できる割合としては、アメリカの73%に対して日本では43%と大きな開きがあるようだ。

 ワシントン・ポスト紙でも、日本では出産後に退職する文化があり、これがシングルマザーを経済的に苦しめていると見ている。同じ企業に勤め続ける限りは安定が約束される終身雇用制度だが、育児との両立が必要なシングルマザーには必ずしも好影響を与えていないようだ。

◆法制度も原因か? アメリカとの比較で見えてくる問題点
 アトランティック誌は離婚に関して、日本には「共同親権」の制度がないことを紹介している。離婚後は一方の親だけが子供を引き受けなくてはならず、慣習として母親が養育の責任を引き受ける傾向にある。働く女性の6割が非正規の職に就いているとするCNNのデータと合わせると、養育を引き受けた母親がいかに不利な立場にあるかが見えてくる。

 十分な養育費を受け取れない場合も多いようで、アトランティック誌では、養育費の訴訟を起こすことが日本では非常に難しいと指摘している。相手の資産の保管場所や収入源を把握していないと訴えを起こせず、特に離婚後にこれらが変化している場合には経済的援助を受けらない場合があるからだ。

 日本は少子高齢化の進行でも知られている。アトランティック誌は、シングルマザーを含めた全ての親が経済的困難から脱することが、脱少子化に必要だとコメントしている。世界で最もシングルマザーに優しくない国という汚名は返上していく必要がありそうだ。

Text by 青葉やまと

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