「恥ずべきプロパガンダ」中国の川の汚染水を飲んだ記者、同業者から非難の的に

Leo Fung / Flickr

著:Oiwan Lam(Global Voices Regional Editor for Northeast Asia)

 英語名「パール・リバー」として知られる中国の珠江で行われた水泳イベントのライブストリーミング動画の中で、サザン・メトロポリス・デイリー(南方都市报)の記者が川の水を数口飲み、珠江の水がきれいだったことを証明しようとした。

 このライブキャストのスクリーンキャプチャはソーシャルメディア上で急速に話題となっている。メディア業界の従事者が多く集うWeChatグループでジャーナリストたちはこの行為を職業倫理にもとる行為だと非難し、ニュースメディア業界全体の面目を潰す恥ずべきプロパガンダであるとした。

 この水泳イベントは7月25日、珠江の下流、中国広州市のサンヤツェン大学(中山大学)埠頭近くで行われた。「さあみんな、運動して健康を維持しよう」(全民健身.全民健康)をテーマに掲げて毎年の恒例行事として開催され、今年はおよそ2,000人の参加者で賑わった。

 多くの中国の国家関連機関のメディア支局がこのイベントを特集し、広州に本拠を置くサザン・メトロポリス・デイリーはライブ放送を行った。ライブ放送中、カメラの前で記者は、川の水がきれいで透明に見えると言い、これを証明するために川の水を数口飲んだ。ソーシャルメディア上での議論(香港のオンラインメディア、HK01が報告した)によると、この記者は実際に川の水を3回飲んだという。最初の1口目を飲んだ時、カメラはたまたま別の方向を向いていた。2口目を飲む様子が一般に放送され、写真を撮るためのポーズを取りながら3口目を飲んだ。

 珠江は中国で三番目に長い川であり、その河口は工業化が最も進んで水質汚染された珠江デルタに位置している。2007年から2013年の間、珠江を清掃しようという努力がなされたにもかかわらず珠江の下流域の水質は依然として悪く、飲用には全く適していない。

 このため、WeChatグループ上のメディアワーカーのソーシャルサークルでは、記者の行動が多数の不満といら立ちを巻き起こしてしまった。ある記者は、サザン・メトロポリス・デイリーは数年前までは中国で最も重要なメディア支局の1つだったのに、現在では「前向きなエネルギー」に満ちたプロパガンダ・マシーンに成り下がってしまった、とグループの1つで指摘した。

 仲間のメディアワーカーからの批判もまた、ネット市民間で共有されている。ウェイボー(微博)のニューススレッドの1つでは多くの人が、珠江の水を飲むという離れ業は職業倫理に反する行為だと言った。

「そういった行為は決して奨励されるべきではありません。ジャーナリストは政治家ではありません。信頼性はメディア支局にとって最も重要なものでしょう」

「この記者は、彼のキャリアを間違いなく前進させることができるよ。ほら、環境局にはポジションが空いている。そのポジションに就けばいい」

「珠江の水が甘くてキャリア形成の一助になるとか言った連中がいるようですが、この記者はそんな前例に倣いたかったのでしょう」

「彼は糞便を食べることによって何を証明できるかって? 彼は糞便が食用であることを証明することができるのさ」

「珠江の川面に死んだ鼠や死んだ豚が風船のように浮かんでいる光景を彼が一度も見たことが無いのはどうやら確かなようだね」

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Translated by ka28310 via Conyac

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