英国の偽寿司スキャンダル、10回に1回は偽の魚 日本も似たようなもの?

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 イギリスの消費者たちは、自分が何の魚を食べているのか正確に分かっていないようだ。オブザーバー紙の報道によると、イギリスの寿司バーで提供される魚の10%が違う魚の名前で提供されている。また、記事の元になった調査によると、スーパーで売られている魚の3%強も本来とは別の種の魚の名前がつけられている。魚への関心が薄く人々が気づかないことが原因の一端だが、日本でも同様との指摘もある。

◆寿司バーでもスーパーでも「誤った」魚を提供
 記事の元になっているのは、イギリスのマンチェスターにほど近いサルフォード大学の研究だ。同大学のマリアーニ博士は、遺伝子の一部の塩基配列を使って種を特定する「DNAバーコーディング」という手法を使い、イギリスの31の寿司店やレストランで提供されている魚肉を調べた。

 結果は冒頭のオブザーバー紙も伝えるところで、およそ10%の魚で説明と実態が異なっていたという。別の調査事例によると、スーパーでも「サケ」を「タイ」として販売するなど、明らかに不正確なラベル付けが複数見られたということだ。

 この結果を受け、ガーディアン紙も「英国の偽寿司スキャンダルに日本人は何を思う?」(7月17日)という記事を掲載している。マリアーニ博士はこの「偽寿司スキャンダル」に関し、違う魚を出されても気づかないことから、気の毒なイギリス人を嘆いている。寿司の本場でもあり、魚を比較的よく食べる日本からの視線を気にする様子が伺える。

◆一因に消費者の無関心 生態系破壊につながるという見方も
 単なる微笑ましい間違いで済めば良いが、生態系の破壊にもつながりかねないとオブザーバー紙は警告する。一部の寿司バーでは、マグロとウナギの絶滅危惧種が、そうとは告げずに提供されていたという。消費者としては、知らないうちに希少な種の捕獲に加担することにもなりかねない。

 同紙は複雑化するグローバルなサプライチェーンを原因に挙げる。複数の業者と国を中継するうちに、伝達ミスや翻訳ミスが起きるのではないかという推測だ。また、禁猟区での漁業や許可を持たない操業者などにより、意図的に異なる産地・名称で流通する可能性も指摘する。

 ガーディアン紙は別の原因として、消費者側の魚への無知・無関心を問題視する。調査によると、イギリスの平均的な消費者は、よく使われる6種類の魚のうちたった2種類しか名前を当てることができないという。結果、不正なラベル付けが横行することになる。

◆フードジャーナリストは日本でも状況が近いと指摘
 イギリスのフードジャーナリストであるマイケル・ブース氏は、日本でも状況は似たようなものだと主張する。カーディアン紙が掲載する氏の記事では、氏の日本人の友人たちでさえ種類の判別に困ることがあり、特に数の豊富なタイ科の魚については日本人でさえ区別が難しいと氏は述べる。確かに似た魚はあり、日本でも料理店で説明された名前は鵜呑みにしてしまいそうだ。国内でも、車エビや伊勢エビなどとして異なる種を提供した事例が過去に報道されている。

 また、記事では「ハローキティのハンドバッグのような色に(餌を通して)着色された鮭の身は全く気にしない」とするなど、海外から見て日本の魚食文化が奇妙に思える点もあるようだ。

 日本では偽のラベリングに関してイギリスほど深刻な状況ではないと信じたいが、魚食の機会の減少も叫ばれている。異なる言語圏から輸入される魚も多く、別種の魚を知らずに食べてしまうという事態は必ずしも他人事ではなさそうだ。

Text by 青葉やまと

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