移民受け入れでも人口維持は無理? 世界に広がる日本型人口問題

 総務省によれば、今年1月1日現在の日本の人口は、前年より16万人近く減って約1億2790万人となり、8年連続の減少となった。日本人住民だけで見れば30万人以上も減っているが、前年より15万人近く増えて232万人となった外国人住民が、減少分の半分を補った形だ。日本の人口減少を食い止めるには移民の受け入れが必要という声もあるが、日本のみならず世界規模で人口減少は不可避という意見もある。

◆人手不足が影響?日本に住む外国人増加
 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、日本の2016年の出生数は初の100万人割れを記録し、死亡数は130万人に達したと述べ、少子高齢化の影響だとしている。国立社会保障・人口問題研究所は、人口減少のペースは毎年上昇し、2045年までには、年間約90万人減のペースになるとしている。

 日本人の数は減っているが、日本に住む外国人の数は増加している。ブルームバーグによれば、出身国別でみると最も多いのは中国で昨年から3万人弱増加し、約70万人が住んでいる。以下韓国、フィリピン、ベトナム、ブラジルと続き、なかでもベトナムは前年より5万人以上増加して約20万人となった。FTは、日本の人手不足の拡大が、留学生や外国人労働者の流入につながったと指摘している。

◆移民受け入れか、同質性維持か。迫られる選択
 FTは、日本人が減少するのに外国人が増える日本の今の状況は、日本の未来の根本的課題を反映していると述べる。つまり、日本が人口維持のため移民受け入れに向かうのか、または民族的同質性を保つために人口減を受け入れるのかということだ。同紙は、低出生率が長年続いていることから、状況を逆転させるのに簡単な解決策はないと述べ、唯一の選択肢が移民受け入れだが、政治家はそれを口にするのさえ嫌がるのが現状だとしている。

 ロイターは、最近政府が学生や高度専門職につく外国人の受け入れに力を入れ始めたことを評価しているが、FTは、働き手を必要とするビジネス、産業界のため、低賃金で過酷な労働を強いると非難される「外国人技能実習制度」の継続を制度の乱用だと問題視しており、このような状況では、持続的な人口の増加にはつながらないだろうとしている。ブルームバーグも、大規模な移民拡大や出生率の上昇がない限り、今のレベルの外国人の増加では人口減を食い止めるのには充分ではないとしている。

◆いずれにしても人口は減る。日本型人口問題は世界へ
 世界から注目される日本の人口減少だが、それが日本だけの問題にとどまらないという指摘もある。今後60年間で世界の人口が減少に転じ、2076年には人口爆弾が内部破裂するというニューサイエンス誌の記事に対し、テスラのCEOイーロン・マスク氏が「だれも気付かないし気にしないが、世界の人口は崩壊に向かって加速している」とツイートしたという(ビジネスインサイダー誌)。

 ビジネスインサイダー誌は、世界人口はアフリカの高出生率のため現在増加中だが、世界全体では出生率は低下中だという。人口を維持するには人口置換水準(人口が増加も減少もしない出生水準。女性1人あたり子供約2.1人とされている)に達することが必要だが、移民受け入れの有無にかかわらず、世界の豊かな国々の多くはそのレベルに達していない。子供が生まれなければ、前の世代が築いた経済アウトプットに見合うだけの強い労働人口は生産されない。最悪の場合、低出生率が低消費をもたらし、さらに低出生率にという悪循環が生まれ、経済活動が停滞するという。

 日本はこの人口内破の極端な例だと同誌は指摘しつつも、日本型の人口危機は今後20年で世界の先進国に広がるという2016年のUBSの報告を紹介している。国連等のデータで見れば、世界の人口は増え続けるとされるが、オックスフォード大学のウェブ出版物「Our World in Data」によれば、2100年までには世界の出生率は女性1人あたり子供2人以下に向かうとされている。中国のように、出生率が短期間に急激に低下した国もあるだけに、人類が崩壊に向かう程度は、出生率低下の速度にかかっているとのことだ(ビジネスインサイダー誌)。

Text by 山川真智子