現金を落とす日本、それが返ってくる日本…海外が驚き 16年に都内で落とし物36億円

◆遺失物管理システムが発達。規則もしっかり
 アメリカ人ジャーナリストのチャーリー・ジェームス氏は、ハフィントンポストに2014年に寄稿した記事で、東京の遺失物の5分の1が警視庁遺失物センターに届けられると述べ、そのシステムの効率の良さも落とし物が持ち主に戻る理由だとしている。

 同センターに届けられた遺失物はウェブサイト上でカタログ化されており、3ヶ月間持ち主が出て来るまで保管される。持ち主が現れない場合は、基本的に現金でも物でも、3ヶ月後拾った人に所有権が移り、罪の意識なく権利を主張でき、極めて良くできたシステムだと同氏は称賛している。遺失物法では、現金を拾った場合5~20%の報労金を受けることができると定められており、善行に報いがあることもブルームバーグは指摘している。

◆海外では届けない?「拾ったものは自分のもの」
 さて、海外では落としたお金を見つけた場合、どうするのだろう。ジェームス氏は、「路上でお金を落としたことに気づいても、おそらくお金は戻ってこない。通りがかりのラッキーな歩行者が、どうせ落とし主など見つかるわけがないのだからとポケットに入れてしまう」と述べ、都市生活とはそんなものだとしている。

 英メトロ紙によれば、イギリスの地方都市の商店で落ちていた札をネコババした女性が有罪となり、話題となっている。このお金は商店のATMで、ある男性が引き出した20ポンド(約2800円)札で、男性が紛失に気付き店に通報したところ、店側の監視カメラで女性がお金を拾い上げたことが確認されたため御用となった。女性は罪を認め条件付きで釈放され、裁判費用として175ポンドの支払いを命じられたという。地元警察は、「拾ったものは自分のもの」という古いことわざは忘れ、持ち主を見つけるために適切な行いをするよう呼びかけている。

 メトロ紙のコメント欄には、多くの意見が寄せられた。明らかな犯罪だという意見もあったが、「普通落とし主など見つからないから、届けるだけ無駄」という反論が多数で、「ばれないようにやるもの」などの大胆な意見もあった。「店の人に渡すべきだった」というコメントに対しても、「店員に渡しても後でこっそり取られるだけ」という意見も複数あった。女性に対しては「たった20ポンドで有罪?」という同情的意見が多く、大金なら別だが、この額であれば許されるべきという意見が目立った。

Text by 山川 真智子