ハロウィン、控えめな日本人が羽目を外す言い訳に? 独自の進化にも海外が興味

 近年日本でも人気のハロウィン。もとはケルト人が収穫を祝い、悪霊や魔女などを追い出す祭りで、米国ではかぼちゃをくりぬいて飾りを作ったり、子供達が魔女やお化けの仮装をして、近所の家々を回ってお菓子を集めるイベントとなっている。今年はちょうど週末と重なったこともあり、日本各地で多くの人々が様々なコスチュームに身を包み街に繰り出した。日本独特のハロウィンを、海外メディアが報じている。

◆大人気のハロウィン。すでに1,000億円市場
 APは、日本のハロウィンは子供だけでなく大人のものでもあり、10月を通してエネルギー、ファッションセンス、お金を消費するイベントだと述べている。AFPは、ハロウィンはすでに1,000億円市場となり、全国の店で、カボチャの飾りである「ジャック・オ・ランタン」が飾られ、関連商品が並ぶと説明。1週間前倒しで催された六本木と川崎のパレードには、それぞれ10万人の見物客が訪れたと報じている。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのアナリスト、妹尾康志氏は、独自のコスチュームを作りパレードに参加する「ヘビー・ハロウィン・コスチューマー」は約100万人いると推定。カジュアル・ユーザーも含め、全国で2,000万人が平均1,000円から1,500円を費やし、このお祭り騒ぎに参加していると見ている。同氏はまた、日本人は季節ごとのイベントが好きだが、秋には今まで祝うべきイベントがなく、その穴を埋めたのがハロウィンだと説明する。すでに飽和した感のあるクリスマスに比べ、マーケットとして成長する可能性も大きいということだ(AP)。

◆日本のハロウィンはコスプレ?
 海外メディアは、多くの日本人がハロウィンを仮装イベントとして捉えていることに驚き、コスチュームの独特さにも注目している。

 APは「普段は控えめな日本人にとって、ハロウィンは不思議な服装で羽目を外す完璧な言い訳」と解説。アニメやゲームのキャラクターに扮する人も多く、コスプレというサブカルチャー発祥の地である日本ならではの熱狂だと説明した。AFPは、「普段働いているので、ハロウィン以外に、自分がしたいちょっとみだらな恰好をする機会がない」というゾンビ・ナース姿の女性のコメントを紹介しており、仮装が日本人にとって、日常を脱するチャンスだと捉えている。

 ニュースサイト『Daily Beast』に記事を書いたジャーナリストのジェイク・アデルスタイン氏は、日本のハロウィンに辛辣だ。女性は男性のバンパイヤ姿を好み、男性は女性の魔女姿を好むというデータがあったのに、実際のところ東京はセクシー・ナースでいっぱいで、バンパイヤの男性は少なかったと指摘。男女が互いを理解していなかったようで、道理で少子化が進むはずだと皮肉った。同氏は、バレンタインデーやクリスマスと同様、全く違ったものに変えられてしまった日本のハロウィンを、奇妙だと述べている。

 日本記念日協会の加瀬清志氏は、ハロウィンが持つ文化や宗教的背景を日本人は気にしないと述べ、最大の魅力は、恋人や配偶者といった相手の必要なバレンタインデーなどとは違い、誰でも参加できることだと指摘している(AP)。

◆アメリカでは意外なコスチュームが人気
 さてアメリカでも大人のハロウィン・コスチュームの需要は高い。米政治紙「The Hill」のコラムニスト、ジュディ・カーツ氏によれば、今年大人気となったのは、共和党大統領候補で不動産王の、ドナルド・トランプ氏の「カツラ」だったという。

 その不自然さからカツラ疑惑も浮上したトランプ氏の髪型にはファンも多く、販売店の一つ、MaxWigs.comでは3種類のうち1種類は売り切れ。お値段は14ドル(約1680円)から30ドル(約3600円)だが、すべてメイド・イン・チャイナで、「アメリカに雇用を取り戻す」と約束する同氏には残念な商品だったらしい。ちなみに民主党候補のヒラリー・クリントン氏のカツラも売れ行き好調で、クールな2015年版は売り切れたが、2008年の国務長官版なら29日時点で入手可能だった(The Hill)。

 全米小売店連合会を対象にした今年の調査では、政治テーマのコスチュームは、第10位にランクインした(The Hill)。政治への関心の高さと見るかどうかは別とし、日本とは違うハロウィンの楽しみ方が、アメリカにはあるようだ。

Text by 山川 真智子