上質なコーヒーを求めはじめた日本人 背景には日本文化特有の… 海外メディア指摘

 スターバックスなど、海外の専門店の進出は、日本においしいコーヒーブームをもたらした。さらなる上質を求める消費者をターゲットに、ブームも新たな局面に入っている、と海外メディアが報じている。一方、ちょっと気になる、コーヒーに関する研究結果が、海外で話題となっている。

◆喫茶店の味、復活?
 APは、日本には今や1000店を超えるスターバックスがあり、コンビニでさえも、入れたてのコーヒーを提供すると述べ、日本人のコーヒー好きを紹介。しかし、こうした新規参入の割を食ったのが、古き良き喫茶店で、ここ数十年で、店舗数が激減したと伝えている。

 そんな今、まさに喫茶店が得意としていた、手間のかかった質の高いコーヒーを提供して人気を得ているのが、今年2月に海外1号店を東京の清澄白河にオープンした、「ブルーボトル・コーヒー」らしい。同社は、2002年にアメリカ西海岸で創業。現在米国内に17店を構え、自家焙煎の豆を使った、こだわりのコーヒーを出す「職人気質の」チェーンとして有名だ。3月には表参道店も開店している(AP)。

◆安全と品質が、外食産業のカギ
 APは、日本のブルーボトルで、4時間待ちの行列が出来ていると報じ、人気の理由は、日本文化にも繋がる、その細部へのこだわりだと分析する。また、スターバックスが作り出した紋切型のコーヒー文化から脱し、さらなる上質を求める人々が現れたことも、もう一つの理由だと述べる。

 フードビジネス・コンサルタントの藤居譲太郎氏は、今が「外食の新時代だ」と述べ、ブルーボトルの到来とマクドナルドの不振は、消費者が食の安全と質を求める、より大きなトレンドの一部だと説明する。藤居氏は、ブルーボトルに限らず、質を重視する飲食チェーンは、マクドナルドのように何千店規模を目指すのではなく、せいぜい50から100店に出店数を留めるだろうと指摘。代わりに、金になるビジネスに繋げるため、ブランド・イメージをしっかり固めることに集中すると述べている。

 欧米の人気店が溢れる日本で、今の人気が一過性のブームで終わらないことを願うブルーボトルだが、東京、代官山に3店目の出店も計画(AP)。今後も新しいトレンドを日本に届けてくれそうだ。

◆1日1杯のコーヒーでも健康被害?
 ところで、イギリスのデイリー・メール紙は、コーヒー好きには、ちょっと心配な欧州食品安全機関(EFSA)の調査結果を報じている。EFSAによれば、限度を超えるカフェイン摂取は、不安症、不眠、心臓疾患の原因となる危険性があり、1日あたりの摂取量は400㎎以下が望ましいとのことだ。

 平均的エスプレッソ1杯は、80㎎のカフェインを含有。マグカップ1杯のインスタントコーヒーなら100㎎、レギュラーコーヒーなら140㎎だというが、毎日の食生活では、コーヒー以外からもカフェインを摂取することを忘れてはならない。例えば紅茶1杯には50㎎、レッドブル1缶なら80㎎、小さなチョコレートバーにも50㎎のカフェインが含まれている。たとえ1日1杯のコーヒーであっても、330㎎のカフェインを含む、スターバックス・コーヒーのグランデ・サイズにチョコレートバー二つを付ければ、一気に限度を超えてしまう計算だ。

 適度なコーヒーの摂取には健康効果も報告されていることから、EUの報道官は、「この調査のメッセージは、コーヒー以外からのカフェイン摂取にも注目すべきと言うこと」と述べ、気づかぬカフェインの摂り過ぎに注意を促している。

◆コーヒー好き世界一は、ダントツであの国
 さて、ウェブ誌『Insider Monkey』は、コーヒー消費量を国別で比較し、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランスとともに、日本は世界の上位5位に入るコーヒー消費国だと伝えている。

 もっとも、日本の1人当たりの年間消費量は、2013年で約3.5キロと、トップ20にも入らない。1人当たりの消費量が多いのはヨーロッパで、特に北欧の国々がトップを占める。ダントツの1位はフィンランドの12.1キロで、デンマーク9.4キロ、ノルウェー9.2キロがそれに続く(全日本コーヒー協会統計資料)。『Insider Monkey』 は、冬の長さが消費量に関係しているのではと推測しているが、北欧の皆さんは、カフェインの摂り過ぎには、くれぐれも注意していただきたいものだ。

Text by NewSphere 編集部