あらゆる落とし物が戻ってくる国・日本 “地球最後の文明社会”と海外が感嘆

 東京都で2014年に落とし物として届けられた現金が約33億4000万円に上り、そのうち約74%の24億7000万円が持ち主に戻ったことが、警視庁のまとめで明らかになった。

 東京は、英エコノミストの調査で世界一安全な都市に選ばれたが、今回の結果は住民のモラルの高さも強く印象付けるものとなった。

◆驚くほど正直
 英ガーディアンは、日本人の驚くべき正直さを物語る例、と報道している。日本の法律では、落とし物の持ち主が3か月間現れない際、落とし物は届け主のものになる。しかし驚くべきことに、届け主がその権利を放棄したため、3億9000万円が東京都の財源となった、と同紙は指摘している。

 AFPは、2000万円近い現金が入ったバッグを届けた清廉潔白な人もいる、と伝えている。イタリア車マセラティ・グラントゥーリズモMCが買える金額である。

◆欧米では5割の確率
 日本とは対照的に、海外では落とし物が戻ってくる確率は低いようだ。

 英テレグラフによると、アメリカのコンピューター・サービス会社Mozyが、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、アイルランドの5か国を対象に、落とし物に関する調査を実施した。一人当たり毎年平均1.24件の落とし物をする一方、半分が持ち主に戻ってくる事が明らかになった。落とし物の平均価格は114.46ポンドで、調査対象5か国の年間合計損失額は3050万ポンド(約56億円)となった。

◆だから日本が好き
 日本人の正直さは訪日外国人の間でも高く評価されている。ガーディアンの読者コメント欄は、実際に日本で失くしたものが戻ってきた話で賑わった。雪山で落した携帯がお土産付きで無料郵送された例や、タクシーの後部座席に忘れた航空券、パスポート、現金、トラベラーズチェック、クレジットカードなどが全て戻ってきた経験もある。日本人の正直さの評判を聞いて、「日本に行ってみたくなった」という意見も多数寄せられた。

 「日本は何でも拾ったものは交番に届けるという社会的圧力が大きいだけで、他の国の人よりも正直であるわけではない」というコメントには反論も多くあった。
・財布や現金が無傷で戻ってくるなら素晴らしい事だ。社会における良いマナーは他の国にも必要だ。
・日本に何年も住んでいるけど、そんな社会的圧力を感じたことはない。

 日本人の正直さに関し、redditには以下の様なコメントが寄せられた。
・アメリカで生まれ育ったが、日本に住んで7年になる。日本人の正直さは、日本が大好きで住みたい理由の一つだ。
・正直さが基本とされている社会では、大多数の人が正直に行動する。驚きだ。
・日本人はずば抜けて礼儀正しい。地球に残された最後の文明社会という気がする。

Text by NewSphere 編集部