「バレンタインデー粉砕デモ」に海外も共鳴!? 「非モテ」は日本社会の問題とも…

 「バレンタイン粉砕デモ」と題されたデモが、2月14日の渋谷で行われる。デモを行うのは、革命的非モテ同盟(革非同)というグループだ。彼らは「チョコレート資本の陰謀に血塗られた」バレンタインデーの粉砕と恋愛資本主義の反対を訴えてデモを行う。ワシントン・ポスト紙やガーディアン紙など複数の英米メディアがこれを取り上げた。

◆「非モテとは階級問題だ!」
 過激な言葉が並ぶが、革非同の設立には理由がある。創設者の古澤克大氏が女性に振られた時に、カール・マルクスの『共産党宣言』の一節に共鳴し、「非モテとは階級問題だ!」と開眼。グループが結成されたのだ。

 彼らの主張は、マルクス主義のレトリックとアンチ・恋愛が入り混じったものだが、「大部分は、”酸っぱいブドウ”(負け惜しみ)なんですよ」という、日本の社会トレンドなどについて執筆しているマーク・シュライバー氏のコメントを、英ガーディアン紙が引用している。そして、革非同のメンバーの多くは、恋愛関係以外は、いたって普通なのだと。

◆過剰に商業主義化するバレンタイン
 実際、英ガーディアン紙の記事には、商業主義化するバレンタインへの批判が展開される。同紙は、革非同の「街中でイチャつくのはテロ行為」という主張にはほとんどの人は賛同しないだろうが、バレンタイン・デーの過剰な商業主義への批判には共感が持たれるだろう、と述べる。

 特に日本のバレンタイン・デーは、愛情を表明する日というよりも、「義理チョコ」などの習慣で、チョコレート産業の稼ぎ時になっている、とガーディアン紙は指摘する。

 さらに米タイム誌は、アメリカでもバレンタインが商業主義に走っていることを痛烈に批判。人々は、純粋に義務感からチョコレートだのバラだのアクセサリーだのを買っているとし、結局はマーケティングと金儲けの日になっているのだと指摘。さらには、バレンタインだけでなく、サンクスギビング・デーでもハロウィーンでも、イベントはすべて一儲けしようとする誰かに利用されているのだ、と語る。
 
 そしてタイム誌は、革非同を設立した古澤克大氏は、洞察力のある視点を示すことでも知られているとして、次の言葉を引用する。「マスメディアは恋愛していない奴は人間としての価値がないと言わんばかり。でもその恋愛は、実は商業的恋愛。恋愛の名で消費に追い立てることなんですよ」。

◆少子高齢化する日本社会を移す鏡?
 一方で、ガーディアン紙とワシントン・ポスト(WP)紙は、革非同のスタンスは極端ながらも、日本社会のより大きな問題を反映させているとも述べている。少子高齢化問題だ。

 ガーディアン紙は、日本家族計画協会の最近の調査を引用。調査対象者のうち49.3%が過去1ヶ月にセックスをしていないと答えていることを伝えた。WP紙は、2011年には、18歳から34歳までの日本人男性の64%が「交際している異性はいない」という調査結果を述べている。

 「非モテ」は、一部の人間の問題ではなく、日本社会全体が抱える問題なのだ、と両紙は示唆しているようだ。

Text by NewSphere 編集部