世界が注目した日本のニュース2014: アベノミクス、慰安婦、美味しんぼ事件…(政治経済編)

毎月のNewSphere人気記事をもとに、2014年を振り返る。本記事では政治・経済関連ニュースを扱う。特に注目を集めたのは、1)アベノミクスと消費税、2)中韓との関係・慰安婦問題、3)集団的自衛権の行使容認 だった。2015年も、これらが海外メディアの主要着目点になると思われる。

1月
2013年12月に安倍首相が靖国神社に参拝した。この影響で、中国・韓国の反発に関する記事が目立った。例えば、駐英中国大使は、日本を「ヴォルデモート卿」(人気小説「ハリー・ポッター」の悪役)に例えて批判した。駐英日本大使は「中国こそヴォルデモート卿になりうる」と反論し、その後、BBCのトーク番組で激論を交わした。
日中大使、英BBCトーク番組で舌戦 司会者の日本攻め質問に苦戦?

2月
米国は日韓の関係悪化を憂慮。ケリー米国務長官が韓国を訪問した。しかし共同会見で、尹炳世外相が日本を全面批判し、和解の難しさがあらわになった。
ケリー長官、韓国にお手上げ? 団結を語るそばから日本を非難

3月
3月には、日米韓首脳会談が初めて開催された。その前段階として、安倍首相は河野談話を見直さないと明言した。ただ、全体的には安倍首相の本気度を問う報道が目立った。
“河野談話は見直さない”明言 米国は評価も、韓国は「手土産」待ちで様子見の構え

4月
国際司法裁判所が、日本の南極海調査捕鯨を禁じる判決を下した。それでも捕鯨を続けようとする日本への批判的な記事が目立った。
日本、捕鯨再開の道もあるか? 「クジラは海の“ゴキブリ”」と擁護派が反発、海外警戒

5月
漫画『美味しんぼ』にて、福島第1原発を訪問した主人公が鼻血を流し、「被曝したからですよ」と断定される場面が描かれた。事故後もやまない風評被害の実例だったといえる。
『美味しんぼ』描写に自治体が猛抗議 “フィクションなのに…”影響力の大きさに海外紙驚き

6月
主に経済政策で安倍首相のリーダーシップを評価する記事が増え始めた中、中韓の対日感情の特殊さが明らかになる調査結果(BBC)も出た。
「日本は世界に悪影響」中国で90%、韓国で79%が回答…好評価の世界とギャップ BBC世論調査

7月
日本では集団的自衛権の行使を容認する閣議決定が行われ、世界の注目を集めた。一方中国の習近平国家主席は、北朝鮮より先に韓国を初訪問するなど、連携を強めた。韓国メディアは、日米韓分断を図る中国への警戒を隠さない。
韓国紙、「反日共闘」の中国を警戒 “甘い言葉で懐柔”、“歴史を歪曲”

8月
慰安婦関連の報道が集中した。朝日新聞が過去の関連報道を検証し、一部は誤報だったとして取り消した。米国では、慰安婦像の建立を支援する議員への批判が寄せられた。
“政治家は韓国系住民に媚び過ぎ” 米WP紙が名指しで批判 慰安婦や東海問題で

9月
8月に続き、朝日新聞は「吉田調書」の特集記事について、誤報だったとして取り消した。これに対する日本の“右派”やメディアの攻撃への懸念報道がみられた。
朝日は被害者? 慰安婦、吉田調書問題受け、「右派の攻撃」を米紙強調

10月
EUが過去の日本同様のデフレ危機に陥りそうなことを論じる記事が注目を集めた。日本で4月の消費増税の悪影響がおさまらず、10%増税を予定通り行うか議論が活発な状況だったことも、影響していたかもしれない。
クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く

11月
アベノミクスで進んだ円安関連報道が目立った。トヨタなど日本企業の好調が評価される一方、韓国の円安批判は「的外れ」とされた。
トヨタ、“バラ色”の純利益2兆円 円安だけではない要因に、米紙注目

12月
電撃的な解散を受け、14日に衆院選が投開票された。事前の予想通り与党の圧勝であり、今後の経済・外交・安保の政策の行方に注目が集まった。また野党では、日本共産党の躍進が報じられた。
日本共産党の躍進に海外紙注目 民主党より明確な“反・安倍”への支持か

Text by NewSphere 編集部