“捕鯨禁止は着物禁止と同じ” 日本の反捕鯨国への反論、海外メディア注目

 国際司法裁判所(ICJ)による中止命令を受け、ストップしていた南極海での調査捕鯨が、来年末にも再開する見込みだ。反捕鯨団体からの厳しい批判に対し、日本の関係者が、メディアを通じ持論を述べた。

◆調査捕鯨か商業捕鯨か?
 日本が調査捕鯨を始めたのは1987年。ガーディアン紙によれば、1986年にIWC
が商業捕鯨のモラトリアム(一時的停止)を決めたことにより、日本は「科学的調査」のため、ミンククジラを主に、年間1000頭の捕獲を許可された。ところが、反捕鯨グループからは、調査捕鯨とは名ばかりで、実態は商業捕鯨だと批判されてきた。

 そしてついに、南極海地域を鯨の聖域と見ているオーストラリアが、ICJに調査捕鯨の中止を求め提訴。3月に日本が敗訴したことから、南極海での調査捕鯨は延期されていた。

◆新提案にも海外は冷淡
 捕鯨再開のため、日本の水産庁は新たな計画を発表した。もっとも、ワシントン・ポスト(WP)が言うように、「多額の補助金で運営される捕鯨プログラムは、科学的目的のためだと証明するため、そして調査の名のもとに鯨を殺すことを正当化するための提案だ」と、多くの海外メディアは否定的だ。

 新提案では、捕獲ターゲットはミンククジラ年間333頭と、以前の3分の1に削減。そして以前は決められていなかった期間についても、12年間という枠が設けられた。新提案の計画書では、30年続く商業捕鯨のモラトリアムがいまだ必要なのかを判断するため、南極海のミンククジラのより生物学的、生態学的情報を得ることが、プログラムの狙いであると記されている(WP)。

 環境保護団体『ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル』のキティ・ブロック氏は新計画を批判し、「ICJの決定にも関わらず、日本はいまだに説明できないことを説明し、擁護できないことを擁護しようとしている。捕鯨は商業目的で、科学目的ではない」と述べる(ガーディアン)。また、グリンピースも、計画を即座に撤回するよう求めたと言う(WP)。

◆批判に徹底応戦
 海外からの批判に、国際捕鯨委員会(IWC)日本代表団のコミッショナー、森下丈二氏は、「日本は『環境帝国主義者』の反捕鯨国をものともせず、2015年末に南極海での調査捕鯨を再開する(ガーディアン)」と会見で気炎を吐いた。

 同氏は、『環境帝国主義』は、ひとつの価値観を他に押し付け、科学ではなく感情に基づくものだと指摘(ロイター)。そして、「どんな状況下でも捕鯨を許さない国がある」と述べ、彼らが「ゼロ・トレランス(いかなる場合も許さない)方針」を変えなければ、IWCの存在意義はないと主張する(ガーディアン)。

 さらに「ほとんどの日本人は今では鯨肉は食べないが、牛肉や豚肉を食べる人から鯨を食べるなと言われることは気に入らない」、「牛肉を食べないインド人が反マクドナルド、反牛肉運動を経済制裁とともに世界中で始めたら?牛肉の話にすれば、反捕鯨運動がばかばかしいことが分かるだろう。鯨と牛の違いは何?」と持論を展開。他国には別の慣例があることを認めず、日本の捕鯨を非難する人々は、「環境帝国主義」という罪を犯していると訴えた。(WP)また氏は、捕鯨への国際社会の反対は着物着用を禁止することと同じとも述べており、ガーディアン紙はその発言を見出しにして報じている。

Text by NewSphere 編集部