バター不足で日本のクリスマスがピンチ? “ラード使えば?”、“値上げのための茶番”と海外読者

 クリスマスを目前に、国内でバター不足が騒がれている。店舗によっては1人1つと制限して売っているところもあるほどだ。ツイッターには、クリスマスケーキのためにバターを探し回る“バター難民”の声も寄せられている。複数の海外メディアが、「日本のクリスマスがピンチ」といった見出しでバター不足について報じている。

◆バター不足の要因
 英ガーディアン紙は、「9月末の在庫数が昨年の在庫数より30%少ないため、不足傾向にあるといえる」、との農林水産省当局者の発言を報じる。同省は、今夏の暑さで牛が疲弊しており牛乳の生産が間に合っていないことをバター不足の要因として上げている。ガーディアン紙はその他の要因として、高齢化する酪農家が需要の減少とともに生産量を減らさざるを得ない現状や、地方の過疎化についても言及している。

 牛乳消費の減少により、政府は2006年から乳牛頭数を縮小したが、その2年後初めてバター不足に見舞われることになった。農水省によると、1985年には8万2000戸ほどが酪農場を営み、211万頭の乳牛がいたのが、現在では1万9000戸の農家が140万頭ほどの家畜を飼うに留まっている。円安による輸入飼料穀物の価格高騰により、酪農業の将来を憂慮する酪農家も多い。すでに苦しい状況にある酪農家が、今後バターの生産量を増やすとは考えにくいと当局者は話す。

◆海外市場に頼る供給
 カナダの民放テレビネットワークCTVは、「数年ぶりに東京が外国の乳製品市場に頼る結果となった」と報じている。バターは国家貿易品目になっており、政府は輸入品に対して厳しい規制と高い関税を課している。

 小売業者は不足を補うために海外バターに頼らざるを得なくなっており、政府は、5月には7千トン、9月にはさらに3千トンのバターを緊急輸入した。

 日本がTPPに参加すれば関税が引き下げられる一方で、農家は国内農業が打撃を受けることを憂慮している。

◆海外の反応
 日本の情報を専門に扱う英字ニュースサイト『ジャパントゥデイ』には、多くの意見が寄せられた。

・クリスマスケーキにバターが入っていることを知らなかった!
・スーパーにはないが、近くのローソンには国産バターが通常より多少高いくらいの価格で手に入る。購買力の差かな。
・バター不足はそういうことだったのか。
・イギリスが何千年もしているように、日本もバターの代わりにラードを使えば良いのに。
・今年はドライフルーツのしっとりしたケーキを試したら?
・バターはたくさん売っているし、バター不足がそこまで深刻だとは思えない。
・バター不足なんて気付かなかった。

 “バター不足”の現状が、価格引き上げのための茶番だという意見もあった。

・バター市場に価格を引き上げる口実を与えているだけだと思う。数年前に同様の事が起きたときはバターの値段が上がった途端にバター不足が解消した。
・バター不足は価格を引き上げるための茶番だ。
・そもそも2006年から乳牛頭数を縮小したのは牛乳の価格を引き上げるためだ。

 また日本政府の失策と見るコメントや、TPPに参加すべきという声も上がった。

・日本政府は2006年からずっと同じ間違いを繰り返しているってこと?中央集権の愚かさを物語っている。
・日本の市場がいかに保護されていないかがわかる。TPPに参加して!
・経済をコントロールしようとした結果だ。TPPに参加する頃合いだ。
・乳製品の関税を下げるべき。一方で、関税が下がれば牛乳やヨーグルトの価格が高騰する可能性がある。

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Text by NewSphere 編集部