日本版カジノはどこにできる? 大阪、東京、長崎…各地の取り組みとは

 2020年、戦後日本で初めて、合法的なカジノができるかもしれない。過去、合法化が検討されながら、様々な問題のため実現できなかったカジノ。もし解禁されたら、どこにどんな施設ができるだろうか。北海道から沖縄まで、20ヶ所以上で動きがある。どのような形になるかは法案次第だが、現在の動きからいくつか予測を紹介する。

◆決定プロセス
 まず大前提として、秋以降審議されるIR推進法案、実施法案の内容次第で、どこにカジノができるかは変わってくる。国際カジノ研究所所長の木曽崇氏によると、当初は2~4ヶ所、複数都市への点在型になる可能性が高いという。

 基本的なプロセスは、1)国が地方自治体を選定 2)地方自治体が民間事業者を選定 となる。自治体、事業者とも、公募に対して応札した中から選ばれる。木曽氏は、1では地域計画が国の施策に合致するかという政策的観点、2では計画に合致するかに一定の経済性を加えた観点から判断する必要があると語る。さらに、ロケーションは決め打ちではなく、アクセスなどを多角的に検討したうえで選定することが重要だ、と主張する。

◆東京、大阪の動き
 候補地として、最も有力なのは東京だろう。富裕層含め人口が多く、海外からの交通の便も良い。2011年にフジテレビが、いわゆる「お台場IR構想」を複数企業と提案したこともあり、お台場を有力視する海外の報道も多数見られる。

 さらに、石原・猪瀬元都知事らは、カジノ誘致に積極的な姿勢を示していた。対して舛添都知事は、まだ法案が国会審議中であることを踏まえ、プラスマイナスを明確にして議論すべき、という姿勢を示している。

 一方、大阪府は、松井知事・橋下大阪市長が誘致に意欲的だ。松井知事は、4月の「IR立地準備会議」で人口島「夢洲(ゆめしま)」を候補地として表明した。9月には、大阪市が検討している鉄道整備計画案が報じられるなど、開発に向けての動きも見られる。

 主な方針としては、「国際エンターテイメント都市・大阪の新しいランドマーク(アイコン) の創造」、「関西固有で世界に通用するエンターテイメント空間・サービスの創出」、「大阪/関西の文化観光資源とのコラボレーション」などが挙げられている。IR施設は「地域のため」という意図が明確だ。

◆地方の可能性は?
 その他の地方自治体でも、本気度には差があるものの、意図しているものはかなり近い。マイナス面を十分考慮し規制も検討したうえで、経済効果に期待し、検討や招致準備を進める、という点も、おおむね共通している。

 特徴的なのは、ハウステンボスと周辺施設を活用する案を検討している長崎県だ。ゼロから施設を開発する必要がある東京や大阪と異なり、既存施設を有効活用することでコストを抑えられる、というものだ。ハウステンボス社長の澤田氏も、海外メディアに誘致への意欲を語っている。賭博の要素を廃した“体験版”カジノを施設内に開くなど、本気度が伺える。

 現在検討されている枠組みは、開発・運営は民間主体である。各企業が迷わず投資したくなるような、「ビジョン」と「試算」、双方が自治体側には必要だろう。

※参考書籍
日本版カジノのすべて(木曽崇)

Text by NewSphere 編集部