“予知はほぼ不可能だった” 御嶽山噴火を海外専門家が考察

 27日正午過ぎ、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が突然噴火。多くの登山者が、煙に覆われた山道を自力で下山したが、数十人は負傷し手当を受けている。山頂付近では死者が出ており、救助活動が続いている。

【最悪のタイミング】
 御嶽山が噴火したのは、紅葉シーズンの快晴の日の正午過ぎ。まさにハイキングには最高の時という最悪のタイミングで噴火してしまった、とテレグラフ紙は報じている。

 噴火の際には、少なくとも250人が山頂周辺にいたと思われる。噴火は雷のような轟きとともに始まり、空と周辺に向かってガスと灰が柱のように広がった。生存者は、煙が太陽光を遮って、真っ暗になってしまったと話している(テレグラフ紙)。

【普賢岳以来の惨事】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、4名の死亡がすでに確認されたという、NHKのニュースを伝えたが、再噴火と有毒ガスの危険から、山頂からの被害者救出と、生死の確認が不可能な状態が続いたと述べている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、今回の噴火が、1991年の雲仙普賢岳以来、初の死者を出す事態となったと報道。500人以上の警察、消防、自衛隊の隊員が、28日早朝から救助活動を行っていると伝えている。

【噴火の兆候は見られなかった】
 テレグラフ紙は、御嶽山では地震活動の増加が記録されていたが、大噴火の兆候はなく、実際の噴火の規模も大型ではなかったとする、専門家の話を報じている。

 イギリスのオープン大学で、惑星地球科学を教えるデビッド・ロスリー教授は、御嶽山は1979年以来噴火しておらず、頻繁に噴火したという履歴もないことを指摘。今回の噴火は、特に大きくはなかったが、登山者たちが火口近くにいたことで、熱い灰が致死的脅威となったと説明する(テレグラフ紙)。

 英ハル大学の地学講師、レベッカ・ウィリアムズ氏も「レポートと映像から、噴火は水蒸気爆発だったようだ」とテレグラフ紙に述べる。水蒸気爆発は、地下水などの水が火山に浸み込み、マグマによって超高温になり水蒸気となって爆発するもの。今回は、これが火道にある物質を空中に吹き上げ、灰を伴う小さな爆発を起こしたと同氏は見ている。

 ウィリアムズ氏は、新鮮なマグマを伴う噴火は、地下のマグマの動きを示す、火山性微動と地面の変化を測る装置を用いて予知することが可能だが、水蒸気爆発は地下マグマの動きから起きるとは限らず、同様の装置で噴火を事前警告することは出来ないと述べている。

 同氏は、活火山が人気の観光スポットであることはよくあり、その危険を良く理解せず訪れる人が多いことを指摘しつつも、今回死者が出たことは「予期できず、予防できなかった悲劇だ」と述べている。

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Text by NewSphere 編集部