高齢者向けの食事を3Dプリンタで作成へ EUが狙う“生活の質の改善”とは

 EU諸国では2025年には5人に一人が65歳以上になると予想されている。この急速な高齢化に対応するため、EUは高齢者に最適な食事を提供するための3Dプリンターの開発に着手、このプロジェクトをPERFORMANCEと名付け、400万ドルを投資した。

【PERFORMANCEとは】
 PERFORMANCEとは「高齢者の栄養摂取に対応し、短時間で製造できる、個人にあわせた食事を製造する」プロジェクトの意味である。

 人は年齢が進むにつれ、個人に合わせた食事が必要になる。50歳以上では15-25%で呑み込みが悪くなり、その結果食事の量が減り、栄養状態が悪くなる。現在、介護施設ではポリッジ風の食事(お粥のようなもの、様々な栄養素が含まれる)が提供されているが、これは見た目も不十分で、食欲をそそるものではなく生活の質を改善するとは言い難い。
 
 この問題を解決するためにドイツの企業Biozoon社が2010年に「スムーズフード」の開発に成功した。

 ワイアード紙はBiozoon社の最高経営責任者Matthias Kuck氏の言葉を引用し、詳細に説明を加えている。「『スムーズフード』は食べ物を一度細かく砕き、それを再度高齢者の食事用に作り直したものだ。Biozoonはこれを単に液体を固めるだけでなく、その前に調理し、裏ごしすることで、より優れたものにした。口当たりが柔らかく口の中で簡単に分解され、安全に食べることができる」とその利点を強調した。しかしこれはコストがかさみ、少人数への対応しかできない。

 Biozoon社ではこの問題を解決するため、3Dプリンターを開発し、大量生産を目指すとしている。サイエンス・ワールド・レポートでは、これについて2025年までの開発を目指すと報じており、Matthias Kuck氏はこの3Dプリンターについて「毎週異なるメニューを準備し、工場で準備し、配達する。個人に合わせ対応が可能で、特別な栄養素やビタミンを加えることができる」と紹介している。

【3Dプリンターによる食事の製造方法】
 これについては、io9、サイエンス・ワールド・レポートが詳細に紹介している。まずカートリッジに液体状にした野菜、肉等を別々に入れる。これをカートリッジから必要に応じ取り出し、形を作り、ゲル状のもので固める。これを何層も重ね、立体的なものを作るという仕組みである。これは通常のインクジェット装置と仕組みはほぼ同じである。

【ユーザーからのコメント】
・まだ始まったばかりでしょ。400万ドルも投じて、目的が達せられるのかしら。

・EUも投資するのだろうけど、地方公共団体にも負担は回ってくるよね。老人ホームや病院を作るほうがもっと簡単な気がするけれど。

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Text by NewSphere 編集部