JALのボーイング787型機、原因不明の発煙 各社への影響は?

 14日午後、成田空港で、JALのボーイング787型機搭載バッテリーから発煙が確認された。同機はバンコクに向けて出発前の整備点検中で、乗客はいなかった。2013年1月、ボストンの空港で同じ787型機のバッテリーが発火してからほぼちょうど1年。当時787型機はバッテリーの改良が終わるまで3ヶ月半運行停止となっていた。

【改良は万全を主張】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、火曜午後4:15頃、コクピットにいた整備士が窓の外に発煙を確認。外に出ると煙は既に消えていたとのことである。コクピットに戻ると、計器がバッテリーと充電器のエラーを表示していたという。その後不具合はメインバッテリーであることを確認、8つのリチウムイオンセルのうち1つの安全弁が作動し、液体が飛び散っていたと報じられている。

 同紙によると、JALはボーイング社と共に現在調査中で、アメリカの国家運輸安全委員会(NSTB)も協力する意向を表明しているとのことである。原因は未明だが、ボーイング社は「前回不具合が発生したときの改良は設計通り機能している」と言うにとどまり、詳細は語らなかった。

 ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌の報道によると、ボーイング社が前回の不具合時に行った改良は漏電の防止、発火の拡散をとどめる補強、新しい耐熱格納容器と安全弁システムを含むものであった。バッテリーの格納方式は発火しても広がらないようになっているとのことである。

 Tecop社のコンサルタントであるハンス・ウェバー氏も「セルの不具合は1ヶ所にとどまり、設計通り他へ広がらないようになっていた。新しい耐熱格納容器が正常に機能した証である。今回の不具合はむしろ徹底した原因究明へ新たなデータ提供となる」との見解を同誌に示した。

【しかし原因は不明のまま】
 ロイター通信によると、787型機は炭素繊維複合材を主に使用した機体と強力な電気システムによる最新機で、機体の軽量化と燃費の向上が図られている。しかし、同機は「問題続き」とも指摘される。そもそも開発は3年以上遅れ、運航開始後も各種システムの不具合が見つかっているとのことである。

 また同メディアによると、連邦航空局(FAA)はボーイング社および日本運輸省航空局と共に本件について調査しているとのことである。当局は昨年3ヶ月以上に及んだ787型機の運行停止後、同機の設計、製造、組立の見直しを開始したが、未だ報告はあがっておらず、いつ終えるのかについても回答がない。当時の不具合についても、バッテリーのダメージがひどすぎたため結局原因は不明のままである、と伝えた。

【株価にはほとんど影響せず】
 ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌によると、それでも今回の件が関係各社の株価に与えた影響は少なく、14日、ボーイング社の株価はわずか0.5%下落したのみだったという。一部アナリストは、ボーイング株をむしろ「買い」と評しているとのことだ。787型機のバッテリー製造メーカーであるGSユアサも0.7%の下落のみ。なおJALは1%上昇、ANAは1.4%上昇した。

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Text by NewSphere 編集部