若田宇宙飛行士と「キロボ」に世界も注目 孤独を癒す会話ロボットへの期待

 日本時間7日、宇宙飛行士の若田光一氏が乗り込んだ、ロシアのソユーズ宇宙船の打ち上げが成功した。若田氏は、第38次/第39次長期滞在クルーとして、来年5月中旬まで国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する。滞在後半には日本人初の船長を務める予定。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のサイトによると、ISSの運用、各施設のシステム運用、日本及び国際パートナーの化学実験等、宇宙環境の利用に重点をおいた活動を行う予定だという。

【会話ロボット「キロボ」は宇宙飛行士の孤独を癒せるか?】
 若田氏の出発に先駆けた8月10日、世界初のロボット宇宙飛行士「キロボ」がISSに到着している。

 キロボは日本語で会話ができるよう設計されている。身長約34cm、重量約1kg。電通、東京大学先端科学技術研究センター、ロボット開発企業ロボガレージ、トヨタ自動車の共同プロジェクト。情報通信機器、顔認識カメラ等が搭載され、音声認識、自然言語処理、音声合成、コミュニケーション動作などが可能だ。

 キロボは無重力環境での航行用に設計されている。宇宙飛行士に限らず、長期間の孤独に耐える人に対し、精神的なサポートを与えられるかが研究されるとワイアード誌は報じている。

【日本政府、有人宇宙計画縮小へ 産経新聞は憂慮】
 日本の産経新聞は社説にて、若田氏の活躍に期待を寄せている。若田氏は、これまで3度の宇宙飛行を経験。2009年には、日本人初となるISS長期滞在中に、日本の実験棟「きぼう」を完成させた。同氏の技術力には、米航空宇宙局(NASA)でも定評があるという。

 しかし、今後の日本人の有人宇宙活動には、暗雲が立ちこめていると同紙は憂慮している。昨年7月に発足した政府の宇宙政策委員会は、ISS計画などの有人宇宙活動を「縮小」対象としているという。年間400億円にのぼるISS予算は、2016年から削減される見通しとのことだ。

 同紙は、2030年代の有人火星探査を掲げるアメリカや、2020年前後に宇宙ステーション建設を目指す中国の例を挙げ、日本も宇宙開発の長期構想を固めるべきと主張している。

Text by NewSphere 編集部