【海外報道】 前日の13倍の放射能、汚染水漏えいで作業員被ばく・・・ 対策はあるのか?

 東京電力は、福島第一原発2号機外側の港湾海水から9日、セシウム134による放射能1リットル当たり370ベクレル、同じくセシウム137によるもの830ベクレルを検出したと発表した。合計1200ベクレルは、前日の13倍以上のレベルとなる。規制値はセシウム137が90ベクレル、セシウム134が60ベクレルである。

 また同日、これとは別に、汚染水配管の交換作業ミスにより、作業員6人が汚染水を浴びる事故も発生している。

【汚染土のトコロテン】
 合計1200ベクレルの放射能が検出されたのは、港湾内に張られたシルト(細砂)フェンスの内側であった。しかしフェンスの外側でも、セシウム137で1リットル当たり160ベクレルが検出された。これも前日のおよそ2倍にあたる。なお、シルトフェンスは本来、土木工事で発生する砂泥の流出防止用であり、放射能汚染の防止用ではない。

 東電によるとこれは、汚染水の拡散防止のため、周囲の土壌を固める薬品を注入しているのが原因らしい。薬品を注入する圧力により、汚染土壌が港湾内に押し出されてしまったのだという。

【相次ぐ作業ミス】
 また同日、汚染水処理装置の修理中に、作業員が間違った配管を外してしまった。配管は事前に排水されていなかったため、汚染水約7トンが漏れ、周囲の作業員6人がこれを浴びた。汚染水からの放射線は比較的透過力の弱いベータ線が中心で、かつ作業員らは防護服を着用していたため、作業員の被曝量は軽微であるという。

 しかし先週には、汚染水の移し替え作業中に、誤ってタンクから汚染水約430リットルがあふれ、さらに7日には配電盤の操作ミスで一時停電が発生する(停電による冷却システムの停止がそもそものメルトダウン事故につながった)など、現場ではこのところヒューマンエラーが多発している。4日には廣瀬直己社長が原子力規制庁に呼び出され、1週間以内の安全対策案提出や作業員の増員を命じられていたところだった。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「回避できたはずの一連の事故が毎日のように発生しているという事実」こそ問題だと批判した。安倍首相は今週初め、国際的な専門家に危機の解決支援を訴えている。

Text by NewSphere 編集部