原発汚染水タンク付近で、最大毎時1800ミリシーベルト計測 海外紙は五輪招致への影響を指摘

 31日、福島第一原発の汚染水貯蔵タンク付近の5ヶ所で、最大毎時1800ミリシーベルトの高放射線が検出された。これは2011年のメルトダウン事故当初後に検出された最高レベルで、4時間で致死量に達する計算であり、作業員が5年間に認められている被曝量100ミリシーベルトの18倍である。100ミリシーベルトでも癌の発生率が上昇するとされる。

【どこから出てきたのか】
 5ヶ所のうち3ヶ所は、従来、放射線が検出されていなかった地点であり、2ヶ所はもっと低い値であった。従って、汚染水貯蔵タンクからの新たな漏水が疑われた。各紙は、これらの貯蔵タンクが慌てて製造された粗雑なものと指摘。より頑強なものとの交換を主張している。

 しかし東京電力は、付近のタンク水量は減少しておらず、タンクからの漏れではないと述べた。翌1日になって東電は、タンクのうち2つを繋ぐパイプから90秒に1滴のペースで漏出が確認され、ボルトを締め直したところ漏水は止まったようだと発表した。

 また東電は、「軽く受け止めてはいない」としながらも、1800ミリシーベルトの測定値はタンク底部から5cmの位置で測定されたものであるが50cmまで離れれば15ミリシーベルトに激減し、はるかに危険の少ないレベルになる、と述べている。

【災害はまだ終わっていない】
 各紙は、これでまた一層、東電の危機対処能力に疑念が増したと報じている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、先週までに漏水が「レベル3」の重大インシデントと判定されたことを受けて、「政府はすぐに東電から主導権を取り上げると表明した」と報じた。フィナンシャル・タイムズ紙も、政府が「今年の予備予算に手をつけることを計画している」と報じた。

 また同紙は、「災害が終わっていないことを世界に示した」ことにより、2020年東京オリンピックの招致にも影響が懸念されると指摘した。なお安倍首相は今週末、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会総会に参加する予定である。

Text by NewSphere 編集部