敦賀原発は安全か? 対立する見解を各紙が分析

敦賀原発は安全か? 対立する見解を各紙が分析 原子力規制委員会の調査団は28日、日本原子力発電敦賀原発(福井県)2号機原子炉建屋直下にある破砕帯(断層)は、「活断層である可能性が高い」とする報告書案に合意した。規制委は最終報告書をまとめる前に、他の専門家による相互評価実施の方針を明らかにしている。なお日本原電は同日、報告書案について「科学的データに基づく判断とは思われない」との談話を出した。
 原発の安全に関わる重要な調査結果だが、なぜ真っ向から見解が対立する状況となっているのか。今後どう影響するのか。各紙の報道から探る。

 朝日新聞は、29日付朝刊8面に記事を掲載。事実の報道が中心だが、“日本原電が活断層でないことを示さなければ廃炉を迫られるだろう”とも指摘している。具体的な問題点については、「12万~13万年前に活動した可能性が否定できず」、「近くを走る活断層、浦底断層と同時に活動し、原子炉建屋に影響を与えるおそれがある」という報告書の紹介にとどまった。社説では脱原発を唱える同紙だが、規制委の慎重な報告を踏まえたのか、抑制的な報道といえる。

 読売新聞は、29日付朝刊1面に加え、2,11面でも関連記事を掲載した。問題となった断層について、規制委と原電の主張が真っ向から対立する原因を図付きで詳しく解説した。それによると、焦点は、敷地内の活断層「浦底断層」と、2号機直下の破砕帯「D-1」が合流する付近で見つかった2つの断層だという。原電は古い時代にしか動いていない方の断層を「D-1の一部」と主張していたが、規制委は新しい時代に動いた方の断層を「D-1に続く」と推定したと報じた。この断層はD-1とタイプが異なると原電は主張しているが、規制委は、変化する例も多いと説明しているという。こうした整理のあとで、相互評価を担当する専門家の「分野が偏っている」という専門家の批判を掲載した。
 また別の記事では、このまま廃炉が決まれば、日本原電に加え、同社から電気を購入している電力会社にも大きな負担が生じる点を指摘した。

 産経新聞は、29日付朝刊2面のほぼ全面を使って大きく報じた。記事では、報告書案を“原電の主張をことごとく否定”し、「クロ判定」を明確に示したものだと紹介。再稼働のハードルは高く、廃炉が迫られる状況だと報じた。ただ、報告書の「可能性は否定できない」などの曖昧な表現や、委員の専門分野が偏っていること、断層の活動時期の違いについての説明が不十分なことなど、問題点も数多く指摘した。
 また別記事では、廃炉が決まった場合、費用を負担することになるとみられる電力会社各社が、国に肩代わりを求める考えを示唆していることも報じている。

Text by NewSphere 編集部