開業インドネシア高速鉄道に懸念も……「負の遺産」化を恐れる声

Achmad Ibrahim / AP Photo

 インドネシア初の高速鉄道が2日に開業した。73億ドル(約1.1兆円)を費やしたプロジェクトの成果であり、中国の一帯一路構想の一角をなす。最高速度は350キロで、ジャカルタからバンドンまでの138キロを約1時間で結ぶ。これまで3時間を要していたルートが大幅に短縮され、世界最悪とも言われる首都圏の渋滞緩和が期待される。一方、中国の借金漬けになることへの警戒感や、当初案の通り日本式を採用すれば良かったとの声も聞かれるようだ。

◆東南アジア初の高速鉄道、インドネシアの「Whoosh」が開業
 列車は8両からなり、601の座席を備える。正式名を「Whoosh(ウーシュ)」といい、インドネシア語で「時短、最適な運行、信頼性の高いシステム」の頭文字を取った。インドネシア4州の州営企業と中国鉄道インターナショナル社との合弁会社PT KCICが運行を担う。ほかの大都市への路線延伸も計画中だ。

 CNN(10月2日)によると、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は開業式で、「インドネシア初、そして東南アジアでも初の高速鉄道」と先進性を強調した。ソーシャルメディアには、試乗した乗客らによる動画が早くも投稿されている。列車が東ジャカルタのハリム駅出発し、バンドン西部のパダララン駅へ向けて走り出すと、乗客らはエアコンの効いた広々とした車内からインドネシアの田園地帯の風景を楽しんだようだ。

開業式で演説するジョコ大統領(10月2日)|Achmad Ibrahim / AP Photo

 一方、開業への道はスムーズではなかった。元々2019年に開業する予定だったが、土地取得問題、新型コロナのパンデミック、費用の増加で大幅に遅れた。予算超過額は12億ドル(約1800億円)規模に達し、公費投入に追い込まれるなど、問題が山積した。

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Text by 青葉やまと