目覚まし時計のスヌーズ機能 健康への影響は?
著:Steven Bender (テキサス A&M大学、Clinical Assistant Professor of Oral and Maxillofacial Surgery)
しっかり眠るべきか。それともスヌーズ機能を使うべきか。どちらが正解かなんとなく分かっていながらも、実践するのは難しい。
大半の人は、目覚まし時計のスヌーズ機能を利用したことがあるだろう。頭を整理するためにも、もう数分だけ布団を被っていたいのも理解できる。
一見何の問題もないように見えるスヌーズ機能だが、果たして本当にそうだろうか。まずは、そもそもスヌーズ機能を使う理由を知っておかねばならない。以前から習慣として使っている人もいるだろう。しかし多くの場合、スヌーズボタンを押してしまう人には、睡眠に重大な問題が起こっている可能性が疑われる。そして睡眠障害には、高血圧、記憶障害、さらに体重の変動といった数々の健康障害との関連性が示唆されている。
筆者は顔面痛を専門としながら、睡眠が痛みに及ぼす影響について広く研究を重ねてきた。そして実験の結果、慢性的な痛みの症状に悩まされている患者の多くが、さまざまな睡眠障害を患っていることが判明した。
◆正常な睡眠とは
アラームが鳴りだしたが、疲れが取れていない。そこでスヌーズボタンを押せば、楽になるのだろうか。科学的には、特にこの問題をテーマにした研究は行われていないが、答えはおそらく「楽にならない」だろう。人間には体内時計が備わっており、身体、精神、行動が一日周期で変化する概日リズムというものを通して、体の機能を制御している。
ほとんどの大人の場合、一晩におよそ7時間半~8時間の上質な睡眠が必要とされる。睡眠にはノンレム睡眠、レム睡眠といわれる段階があるが、これくらいの睡眠時間を確保しておけば、各段階に十分な時間を充てられる。
ノンレム睡眠には3つの段階があり、そこからレム睡眠へと移行するサイクルを一晩に4~6回繰り返す。眠ってすぐにノンレム睡眠の深い眠りに入り、目覚めの頃にはレム睡眠となっているのが一般的だ。
◆上質な睡眠の重要性
上質な睡眠で体をしっかり休めるには、このようなサイクルがきちんと定まっていることが重要だ。このサイクルに乱れが生じると、朝目覚めた時に疲れが残っていると感じやすい。
睡眠のサイクルに影響を及ぼす要因は数々ある。例えば、睡眠中に(いびきや無呼吸で)呼吸が上手くできていないと、正常なサイクルが乱れ、目覚めた時に疲れが取れていないと感じる要因となる。また、夜中に電子機器を使用したり、煙草やアルコールを摂取したりすると、睡眠の質が低下する恐れがある。寝る直前の食事もまた、悪影響を及ぼす可能性がある。
10代の頃からスヌーズボタンを使用している人も多いが、これにより概日リズムが何らかの影響を受け、寝つきも寝起きも悪くなる一因となっている。スヌーズボタンを押して起床時間を9分遅らせたとしても、もはや体の休まる睡眠をとることはできない。それどころか脳が混乱してしまい、眠気を呼ぶ神経化学物質の分泌量を増やし始めるという説もある。
つまり、所定の時間にアラームをセットし、そこでしっかり起きてしまうのがベストだ。毎朝疲れが取りきれないと感じる場合は、専門家に相談の上、原因を解明することをお勧めする。
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by t.sato via Conyac
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