「睡眠不足で寿命が縮まっている」警鐘鳴らす米学者 政府の介入が必要?
睡眠は8時間以上とることが健康に良いというのは多くの人が知るところだろう。そうとは言っても、なかなかしっかりと睡眠時間を確保するのは難しいというのが、社会人の現実だ。長時間の勤務だけでなく、通勤や付き合いの飲み会などで時間を取られ、家族との時間も大切にしたと思うと、そのしわ寄せはどうしても睡眠時間にくる。それが現代の社会であり、「毎日8時間の睡眠をとっている」なんて言うと、怠け者の代表のように扱われかねない。
◆睡眠不足の深刻な影響
この現代の慣習にアラームを鳴らすのがカリフォルニア大学バークレー校の教授で、同大学のセンター・フォー・ヒューマンスリープサイエンスのディレクターを務める睡眠科学者、マシュー・ウォーカー氏だ。同氏が9月28日に上梓した『ホワイ・ウィー・スリープ(どうして我々は眠るのか)』に対するガーディアン紙のインタビューによれば、私たちは「壊滅的な睡眠の損失傾向」にあり、睡眠の重要さを考慮していない。そのため、寿命がどんどん縮まっていくのだという。同氏は「生物学的に見て、私たちの身体の全ての側面が、睡眠の分断によって影響を受けている」と言い、睡眠を重んじない風習の横行は、政府の介入が必要なレベルであるかも知れないと語っている。
睡眠が不足すると免疫力や自然治癒力などに悪影響があることは知られているが、同氏は、睡眠不足によって、アルツハイマー病やがん、糖尿病、肥満、精神面での不安定なども引き起こされる可能性があるという。
◆うつには睡眠不足がよい?
しかし、この諸悪の根源とも思われる睡眠不足だが、実はうつ病の治療に役立っているという事実もあるようだ。日本ではあまり馴染みがない治療法らしいが、この治療法は「断眠療法(覚醒療法)」と呼ばれている。『Mice Times of Asia』の記事によれば、アメリカの心理学者たちが独立した66のうつ病、またはうつ状態の事例を分析して調べたところ、まったく睡眠を取らなかったり、睡眠が分断されたりした場合、症状が軽くなるという。
ただし、この状態は一時的なものであるようで、なぜ断眠療法がうつ病に効くのかは判明していないという。眠りが妨げられることでノルアドレナリンやドーパミンなどが多く分泌されるのではないか、などの仮説が唱えられている。
◆ やはり健康を保つためには睡眠が必要
睡眠不足で症状が改善するのはうつ病のみであり、健康な人は睡眠を取ることは必要不可欠である。では、時間を取っても眠れない、という人はどうすればいいのか? ニューデリー・テレビジョン(NDTV)は、食生活に盛り込むことで、良い眠りを提供してくれる食べ物を紹介している。筋肉の緊張をやわらげるバナナ、オメガ3の豊富なフラックスシード、マグネシウムが質の良い眠りを作り出すアーモンド、そして温かい牛乳というリストとなっている。
今日くらいは、ちょっと早く仕事を切り上げて、温かいミルクを飲みながらゆっくりと眠りにつくのもどうだろうか?
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