X JAPAN米公演、現地メディア絶賛 “破壊的な悲しみ”“最高の歌声”“MSGを制覇”…

 X JAPANが11日(現地時間)、“世界で最も有名なアリーナ”としても知られる、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでコンサートを開催した。

 会場には1万5千人のファンが集まり、これはアジア単独アーティストとして最高記録になったという。アメリカでも各メディアがコンサートの様子を詳しく伝えており、「歴史的」「驚愕」といった記述も見られた。

◆90年代の「失敗」を乗り越えて日本の“キング”が登場
 「東京の郊外で結成して30年後、日本のグラム・ロックの“キング”はついにMSGに登場する準備ができた」(ローリング・ストーン誌)、「日本で最も人気のあるバンドのひとつX Japanが10月11日、一度限りの歴史的なコンサートを行った」(米エンターテインメント系サイト「ハリウッド・ソープボックス」)。

 X Japanについて “日本を代表するバンド”という評価は各メディアに共通しており、ジョン・レノンをはじめ名だたる世界的なスターが立ったステージへの登場に、驚きの反応は見当たらない。

 ビルボード誌は同バンドが、グランジ・ムーブメントの影響を受けた90年代の商業的失敗の後、2010年に世界的音楽フェスLollapaloozaの出演を含むいくつかのライブまで沈黙を保っていたと紹介する。ここ最近でアメリカを訪れるのは4年ぶりで、X Japanを見ることができるチャンスは極めて珍しく、貴重だとした。

◆X JAPANの公演が「限りなくポジティブ」と評価された理由は?
 コンサートは8時を過ぎると即座にスタート。ハリウッド・ソープボックスによると、一般席もファンが埋め尽くし、前方の席は「特徴的なXポーズを提供する、バンドを熱愛する人々」が満たしていたという。

 ビルボードは彼らの日本でのファンベースが性別、年齢、文化的な差異を超えて分布していると指摘しているが、この夜のコンサートでも同じような光景が見られたようだ。これは、文化的に棲み分けられているアメリカでは、「驚愕」な出来事だという。一例として、ケイティ・ペリーのコンサートに黒のデニムに身を包んだメタル好きが集まった架空のシーンを挙げ、「その逆だ。限りなくポジティブなことだ」と伝えている。

 メンバーの描写も興味深い。ソープボックスのコンサートレビューによると、ボーカルのToshiの声は依然としてX JAPANのオリジナルのCDと変わらず、「メロディックで疑いなく、今日のロックンロール・ビジネスで最高の歌声のひとつだ」と手ばなしで賛辞を送っている。また、ギターのPataはこのバンドでは、ビートルズでいうジョージ・ハリスンの役割‐‐すなわち「静かで、効果的で、利己的の反対側に位置する」‐‐が似合っている、といった海外ならではの記述も見られる。

◆YOSHIKIの悲しみとX JAPANの歴史 海外メディアも感動?
 リーダーのYOSHIKIは「シャツを脱ぎ、長い髪をビートに揺らしながらプレイした」(ソープボックス)、「背後のスクリーンに、悪魔の翼を広げた“ビデオゲームのラスボス”のような影を映し、ドラムの玉座に立った」(ビルボード)などと、各メディアが熱をこめた筆致でその姿を伝えている。

 コンサート前にローリング・ストーンに掲載されたプレビュー記事は、YOSHIKI の半生を振り返る形でX JAPANの歴史を詳細に跡付けた。同誌は、バンドのキャリアや音楽には、彼の「悲しみ」や等身大の「傷つきやすさ」があったとし、続けて「X JAPANは、ほとんど信じられないような、真実であるには悲しすぎるような不幸や悲劇に付きまとわれてきた」と綴っている。

 こうした点に関して、ビルボード誌は、X JAPANのような感傷性を帯びた音楽はアメリカでは珍しいと指摘。この日のコンサートでも4曲目に”standing in the rain”が「破壊的な悲しみ」とともに演奏されたという。

 そして、日本でも報じられていた通り、アンコールではYOSHIKIからオリジナルメンバーのHideと Taijiに「感動的な哀悼」(ハリウッド・ソープボックス)の言葉が送られ、”Art of Life”でコンサートは幕を閉じた。ソープボックスは、この日のハイライトを次のように伝えた。「YOSHIKIが4歳の時に出会った友人のToshiとハグをした瞬間は正真正銘の本物のようだった。彼らの夢はミュージック・ビジネスに跡を残し、そして今、彼らはマディソン・スクエア・ガーデンを制覇した」。

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Text by NewSphere 編集部