これぞプロ! フルート奏者、顔に蝶が止まっても演奏を続行 世界で賞賛の声

 録画・録音されたものならいざ知らず、生のパフォーマンスの舞台では思いもかけぬハプニングが起こることがある。ある国際コンクールの舞台では、演奏中のフルート奏者の顔に蝶が止まるというハプニングが起きた。その様子を示したYou Tubeの動画は80万回近く再生されており、複数海外メディアが報じている。

【ハプニングにも冷静に対応した演奏者】
 ハプニングが起きたのは、15日からデンマークのオーゼンセで開催されている「カール・ニールセン国際音楽コンクール」の舞台上だ。日本人のフルート奏者太田幸江氏が、サンカン作曲の「フルートとピアノのためのソナチネ」を演奏中に、一羽の蝶が舞い込み、氏の顔に止まった。

 動画では、蝶は氏の頭に舞い降り、額から眉間へと移動している。しかし、太田氏はこれに動ずることなく演奏を続け、曲が間奏部分に差し掛かるまでの1分程の間、蝶と「競演」した。

 ばい太田氏は、ハプニングのあった一次審査と続く二次審査を通過しており、現地時間19日には三次審査(準決勝)に臨む。二次審査を通過したのは6人、決勝に進むのは3人の予定だ。

【動画を見た人々の反応】
 You Tubeの動画には多くのコメントがついた。以下のようなものが高評価だ。

・蝶は良い音楽と座るための鼻を愛するのさ。

・これは素晴らしい。

・なんて集中力だ! こんなに気を散らさせる、身体的妨害をスルーできるとは。

・私だったら自分をフルートで叩いてたな。虫に対して上手く反応できないの。

 また、「You Tubeで人気を取るためなら人は何でもするのさ」というひねくれたコメントもあったが、それに対する「はいはい、その通りさ… フルートの演奏を習い、蝶が顔に止まるのを待ってたんだよ… You Tubeで人気を得るためだけにね …アホか」という返信の方が、高い評価を得ている。

【音楽評論家の意見、科学者の見解】
 この件を報じるテレグラフ紙の音楽評論家は、クラシックの音楽家がこのような出来事にも「平静を保ち続行」する例は毎日のようにある、と述べている。近頃は携帯電話が鳴り出すことが最も多いが、他にも停電や泥酔した客の歌声に悩まされることもあるという。野外での公演では、蛙の声のみならず、猫や熊までが乱入することもあるそうだ。

 第二次世界大戦中に空襲の中で行われたロンドンでのコンサートや、今年3月にロサンゼルスで起こった地震の最中にも演奏を続けたオーケストラの例を挙げ、「これがプロフェッショナリズムだ」と締めくくっている。

 またデイリー・メール紙は、スミソニアン博物館の研究員による蝶の行動の理由についての分析が紹介されている。それによると、「蝶が人に止まるときには、大抵は飲むための塩水を求めている」そうだ。ビデオをよく見ると蝶が口吻を伸ばしているのが見て取れる、と研究員は語っている。

 ただしこの記事には、「蝶は彼女の音楽への賞賛を表しているんだ、科学的な受け止め方ばかりするのはやめようよ、ロマンが減る」との読者コメントもついている。

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Text by NewSphere 編集部