『アナ雪』日本での圧倒的ヒットに海外メディア驚愕…その要因を分析

 ハリウッド・リポーター誌によると、『アナと雪の女王』の日本での興行収入は2億5000万ドル(約253億円)となっている。先週16日にDVD、Blu-rayが発売されて以降も、映画館での上映が最長記録の19週目に突入するほどの人気ぶりだ。海外メディアは日本での人気の理由を分析している。

【『アナと雪の女王』が社会現象に】
 『アナと雪の女王』は3月14日に上映が始まり、6月初めまで16週連続の興行成績トップを維持した。『千と千尋の神隠し』、『タイタニック』に続く第3位の興行成績となった、とハリウッド・リポーター誌は報じている。

 ウォールストリートジャーナル紙によると、16日発売されたBlu-rayは1日で販売記録を塗り替えた。2010年5月の販売以来46万5000枚を売り上げた『エヴァンゲリオン新劇場版:破』の記録を破り、実に66万1000枚を売り上げた。発売3日で100万枚を突破し、初週売上は151万枚にもなった。

 アマゾンジャパンは、『アナと雪の女王』ストアをオープンし、498種類の映画関連商品を取りそろえている。またソニーは「Play Station 4 アナと雪の女王 Limited Edition」を4万2980円で発売と、大手企業各社も『アナ雪』流行に乗っている。

 企業ばかりでなく政治家もこの風潮に乗っているようだと、ウォールストリートジャーナル紙は11人の県知事による『Let It Go』再現動画を取り上げた。「子育て同盟」に参加している県知事たちが、「力を抜いて、ありのままの子育てを」というメッセージを込めた動画で、賛否両論を呼んでいる。

【日本版人気の理由】
 日本でのアニメ人気とディズニー人気は周知の事実で、ある程度の成功は期待されていたもののここまでの社会現象になろうとは誰も予想しなかった、とハリウッド・リポーター誌は報じた。声優のキャスティングが当たったことが大きな一因だと見ている。共に歌手で俳優であるアナ役の神田沙也加、エルサ役の松たか子は世界でも評価された。また「ありのままで」という訳詞とともに、映画の「自立した女性の力」というテーマも幅広く共感を呼んでいる。

 『アナ雪』は今までのディズニー映画よりも更に広い年齢層、めったに映画館に行かない人、また多くのリピーターを獲得した。アニメとしての美しさ、また音楽を高く評価する声が多い。3Dの日本版公開がちょうどゴールデン・ウィークに重なったことも興行収入を押し上げる一因となったと、ハリウッド・リポーター誌は見ている。

【普遍的なメッセージ】
 テレグラフ紙は、『アナ雪』は革新的であると同時に保守的でもあり、子どもを魅了する話の要素を持っているとした。「自分を犠牲にして人のことを助けることが愛」という自己犠牲の精神、力は危険であると同時に賢く使うことで人の役に立てることができる、という自覚は、映画の中のメインテーマとなっている。同紙はまた、アインシュタインが「子どもを賢くしたければ童話を読んであげなさい」と言ったように、子どもたちは寓話や伝説から心理学を学ぶ、と指摘した。

 子どもにとっての魅力が、広く大人の間にも共感を呼んだことが映画大ヒットの要因であることは間違いない。

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Text by NewSphere 編集部