『進撃の巨人』米国で評価 日本のアニメは“オタク向けだけではない” 一流の娯楽と絶賛

 『進撃の巨人』の人気が止まらない。諫山創氏の描く原作漫画の単行本は、累計発行部数が3600万部を超えた。昨年放映されたアニメは、BD・DVD第1巻だけで、売り上げ10万枚を超える大ヒットとなった。昨年のNHK紅白歌合戦に、アニメの主題歌を歌うLinked Horizonが登場したことも、話題となった。来年には実写映画化も予定されている。海外でもこの作品の人気は相当高い。

【アニメ『進撃の巨人』のクオリティーの高さに驚く】
 米ニュースサイト『デイリー・ドット』に掲載された記事では、それまであまりアニメを観てこなかった筆者が、『進撃の巨人』のアニメと出会って感じた驚きが、ありありとつづられている。

 筆者は、映画、SF、ホラー、そしてポップカルチャー全般のファンであり、一度腰を据えて、(映画やOVAではなく)TVシリーズのアニメを試すのが、自分のために当然だと感じていたという。2話ぐらいなら続けて見ることができるだろうと考えて、『進撃の巨人』を見始めたところ、途中でやめられず、2晩で全25話を一気に見てしまったとのことだ。

 美しく映像化されていて、筋のしっかりした、大人向きなテーマのホラードラマが、アニメというパッケージに包装されているのを見出して、びっくりした、と筆者は語る。そしてこれは、アニメのベールに覆われた『ウォーキング・デッド』だ、とアメリカで人気のあるテレビドラマを引き合いに出す。

【人気テレビドラマとの類似点に、人気の秘密の一端が?】
 このような比較は、ソーシャルニュースサイト『ガーディアン・リバティー・ボイス』の記事でも行われている。こちらでは、テレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』との類似点がいくつか並べられている。その中で、最も重要なのは、両作品では、たとえどれほど重要な役どころであっても、登場人物が簡単に死ぬ点だという。

 『進撃の巨人』は、第1話からしてもう、悲劇的で絶望的な状況に満ち満ちている。そのトーンから、この作品は『ゲーム・オブ・スローンズ』のアニメ版であるという考えにいざなわれるという。また、どちらも、各回の最後に、緊張感のある“引き”を作ることに長けている。番組ファンは、お気に入りの登場人物が、次回も生き延びられるかどうか、絶えずハラハラさせられるという。

【アニメを見ていない人にこそ見てほしい『進撃の巨人』】
 このように、2つの記事はどちらも、アニメ『進撃の巨人』の魅力を語ろうとして、テレビドラマを引き合いに出す。このアニメは、一般的に人気のある他のコンテンツと、同等の魅力を持っている、という論法だ。

 アニメを楽しむのはまだ一部の特別な人たちだ、という認識が、アメリカの世間一般にはあるようだ。『デイリー・ドット』の記事はそのことを踏まえて、そういう認識を持つ人たちにこそ語りかけている。

 この頃では、子供が楽しむものを(大人が)楽しむことは、恥ずかしがるようなことではないでしょう、と筆者は読者に同意を求めている。自分は、年取った男でありながら、恥ずかしさを感じずにアニメを観ることができる。一流の娯楽は一流の娯楽だ、と断言する。そして、「自分の前に開かれていく、楽しめるコンテンツの新しい世界にワクワクしている」とアニメを称賛する。

 「もしもあなたがアニメファンではなく、アニメ・漫画やSF作品が特に好きではなかったとしても、自分のためだと思って、少なくとも『進撃の巨人』はチェックしてほしい」「自分がとても楽しんでいることに驚く羽目になるかもしれない」と記事は結んでいる。

【これがコスプレ? セルビア人のなりきりコスプレイヤーが見せたものとは】
 コスプレイヤーの間でも、『進撃の巨人』の人気が高いことは、『デイリー・ドット』でも触れられているが、その衝撃的な例が、ゲーマー向け情報サイト『Kotaku』に紹介されている。

 セルビア人のBorivoje Naumovskiさんは、『進撃の巨人』のエルヴィン・スミス団長の“コスプレ”をしたが、なんとそれは、全裸にベルトを巻き付けただけのものだった。Naumovskiさんによると、エロ系二次創作に着想を得て、このコスプレをしたとのことだ。『Kotaku』は、これはエルヴィン団長の、かなりおもしろい解釈の仕方だと述べている。もちろんNaumovskiさんは、服を着たエルヴィン団長のコスプレ姿も発表している。

Text by NewSphere 編集部