なぜ名古屋? レゴランド、2017年日本初上陸 ディズニー、USJに対抗できるか

 6月30日、デンマークの玩具メーカー「レゴ社」(親会社・英マーリンエンターテイメンツ)が名古屋市と「レゴランド」建設に向けた調印を交わした。オープンは2017年春を予定しており、両者は調印に向けて、2012年から調整してきたもよう。

 室外型レゴランドは日本初で、デンマーク、イギリス、アメリカ、ドイツ、マレーシア、アラブ首長国連邦(2016年オープン予定)に次ぐ7カ国目で8番目だ。なお、室内型の「レゴランド・ディスカバリー・センター東京」はお台場に2012年6月にオープンしている。

 着工は来年になる予定。総事業費は3.2億ドル(約320億円)で、マーリンエンターテイメンツが毎年92億円を今後3年間投資し、一部を三井住友銀行から資金提供を受ける。

 日本のテーマパーク市場は40億ポンド(約7000億円)の価値があると推定(英ガーデアン紙)されており、今後一層アジア地区で売上を伸ばしたいレゴ社は、レゴランドを武器にマンガとハロー・キティの本拠地に乗り込んでくる。

【なぜ?名古屋にレゴランド】
 英BBCは名古屋という立地条件について、「東京から2時間で行け、中部圏は2,000万人以上の人口集積」と伝えている。総務省によると中部圏の人口は2,174万人であり、関西から1~2時間、関東から2時間前後と国土のほぼ中央に位置している名古屋を拠点にすることで、関東や関西からのお客様もターゲットにしているのがうかがえる。

 建設場所は名古屋市港区にある金城ふ頭で、広さは13ヘクタール(東京ドームの約2.8倍)のようだ。交通アクセスも良く、名古屋駅からおおなみ線に乗り換え、終点の金城ふ頭まで24分(15km)。車だと名港中央IC出口からすぐの場所にあり、西側にある三重県四日市や東側にある豊明など近郊からのアクセスも良い。また、約5,000台の車が収容できる大型立体駐車場も完備する予定だ。

【今後の展望は】
 今後2‐3年毎に新しいテーマパークを一つオープンさせる目標を掲げている、と「マーリン・エンタテイメント」のニック・バーニーCEOのコメントを海外主要メディアが報じている。

 また、中国に工場を建設するなどの発表もあり、アジアマーケットに注力するのがうかがえる。ヨーロッパではすでに「レゴ」の人気は不動のものになっているが、アジアや中南米、アフリカ圏などで認知度や収益を上げたいようだ。

 レゴ社は一度、倒産寸前まで追い込まれた背景がある。トップにクヌーストープ氏が就任してから、見事なV字回復を果たし、この10年間で売上を4倍近くまで飛躍的に伸ばしている。今では世界の玩具メーカーの中で第2位まで上り詰めている。1位はバービー人形で有名な米マテル社、3位はGIジョーで人気を博した米ハズブローだ。

【どんなレゴランドになるのか】
 日本のレゴランドがどのようにデザインされるか、具体的な詳細はどのようになるのかは決定されていない、と同社広報部のコメントを英ガーディアン紙は掲載している。ただ、これまで世界中で作られてきたミニランドはデンマークにある「レゴランド・ビルン・リゾート」をお手本にして作られているようだ。

 レゴランドでお馴染みの「ミニランド(レゴシティエリア)」。その国や周辺国の有名な建造物をレゴを使って再現している。アメリカのミニランドでは、ワシントンDCのキャピタルヒル、ニューヨークのグランドセントラル、サンフランシスコのビクトリア建築、マレーシアのミニランドでは「ツインタワー」「クラークキー」、お隣の国の「マーライオン」などが立ち並ぶ。

 日本のミニランドには「サクラ」「新幹線」などの可能性が高いのでは、と英ガーディアン紙は伝えている。他方、ミニランド以外にもアトラクションや複合施設なども計画されており、年間180万人の集客を見込んでいるという。

※本文中「オランダにある「レゴランド・ビルン・リゾート」」は「デンマークにある「レゴランド・ビルン・リゾート」」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(7/7)

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Text by NewSphere 編集部