“異常に活発な、しゃべり、踊る梨” ゆるキャラの魅力、海外メディアが伝える

 日本全国の「ゆるキャラ」たちは、イベントやコマーシャルに今日も引っ張りだこだ。現代日本の文化として、確実に根付いており、彼らを目にしない日はない、と言っていいだろう。日本を紹介する海外メディアの記事にも、しばしば登場する。

【ゆるキャラは海外メディアでどのように紹介されているか】
 ゆるキャラの多くは、自治体や商店街など、地域を代表しており、その見た目は出生地に結びついている。「ご当地キャラ」と呼ばれることもある。

 ガーディアン紙は「ゆるキャラ」を「肩肘張らないキャラクター」と訳し、地方料理、観光スポットから、税務署、警察、自衛隊、さらには刑務所に至るまで、あらゆるものを宣伝し、広めるために活用されている、と紹介する。

 CNN(5月12日付)は、同じく「ゆるキャラ」を、「きっちりしていない」あるいは「緩やかな」キャラクターと訳す。ありとあらゆる種類があり、なかには、とことん奇妙な産物もある、と語る。CNN(6月11日付)は、風変りなキャラクターの例として、頭にひっくり返したラーメンの丼を乗せた佐野市の「さのまる」、“気味の悪いお化けのような”岡崎市の「オカザえもん」を挙げた。

 アマチュアが考え出し、デザインすることも多いが、目にしただけで、あまりにもはっきりとそれがわかってしまうことも多い、とCNN(5月12日付)は語っている。

【個性的な魅力で、成長頭のふなっしー】
 そういった意味で、「落書きがそのまま飛び出したような雑でゆるい顔が特徴」と自ら語る「ふなっしー」は、実にゆるキャラらしい。ふなっしーと「くまモン」は、日本で最も人気の高いゆるキャラだと、CNN(6月11日付)は伝える。記事はふなっしーを、「自力でのし上がったロックスターのゆるキャラ版だ」と形容している。

 ふなっしーが、なぜここまで日本中で愛されるようになったのか。それを知るために、CNNは「ご当地キャラクターフェスティバルinすみだ 2014」を取材している。このイベントは、5月31日・6月1日、スカイツリーのお膝元の業平橋・押上エリアで行われたものだ。

 語尾に「なっしー!」を付けて、甲高い声で観客を煽りながら、激しく力強く踊りだした瞬間、ふなっしーは忘れられない存在になる、と記事は語る。

 日本のマスコットたちは、典型的に、物静かで、抱きしめたくなるようなかわいらしさだが、ふなっしーは異彩を放っている。ユニークなコスチュームデザインのおかげで、素早い、エネルギッシュな動きをすることができる。また、話せるため、観客と対話をすることができる。それらのおかげで、ふなっしーは人々のお気に入りになっている、と記事は説明する。

【ゆるキャラのもたらす経済効果】
 また記事は、ゆるキャラのもたらす経済効果にも注目している。同イベントでは、ハンドバッグや、タオル、Tシャツといったグッズを購入するために、人々が列をなした。キャラクタービジネスのマーケティング会社キャラクター・データバンクによると、2012年、日本国内で、マスコットタイプのキャラクター関連売り上げは、160億ドル(当時のレートでおよそ1兆2800億円)近くに達したという。

 ゆるキャラのブランドは、海外にも広まりつつある。記事によると、台湾のセブンイレブンには、もうじき、くまモングッズが並ぶことになっているという。グッズの販売を通じて、熊本県の知名度もさらに上がるのではないだろうか。

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Text by NewSphere 編集部