一風堂がマレーシア進出 海外でのラーメン人気も…イスラム圏で豚骨はどう戦う?地元紙も注目

 海外に広がった日本のラーメン文化は、今日幅広く受け入れられている。海外メディアは、ラーメン研究家から新しい料理法まで様々な題材でラーメンを取り上げている。

【ラーメン研究家】
 ニューヨークでは、国際交流基金ニューヨーク日本文化センターと日本クラブによって、日本のラーメン文化と歴史についての講義が行われた。ニューヨーク大学歴史学部の助教授ジョージ・ソルト氏を講師に迎え、キャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりだったという。

 ニューヨーカーによると、ソルト氏は10年東京に住んだ後、サンフランシスコのカリフォルニア大学でラーメンを研究論文の題材とし、食料の生産、労働実態、外国貿易、国民性まで掘り下げて論じた。講義では、アメリカ占領下であった19世紀、中国の商人によって持ち込まれた中国風のスープから始まるラーメンの起源、70年代のインスタントラーメンの増加、18、19世紀の熱狂的なラーメン人気がラーメンセレブやラーメン博物館、ゲームなどを生みだしたことを解説した。

 氏によると、ラーメンは詳細に記録が残っている食べ物で、政治的、経済的要因が絡み合って、労働階級の食事から国際的にも理解され愛される象徴的な料理となった。

【一風堂の海外進出】
 マレーシアのニュースサイト『The Star』では、一風堂の海外進出を大々的に取り上げている。経営戦略本部執行役員本部長の山根智之氏によると、店の運営方法、立地、材料に関して妥協はない。マレーシアでアウトレット立地を選ぶにあたり、30~40ヶ所を確認したという。「地元提携先の協力を得て提供する質とサービス、見栄えとデザインにほこりを持っている」と山根氏は強調する。

 2008年、海外進出の最初の地としてすでに幅広いタイプのレストランや料理が存在しており、文化や流行の発信地でもあるニューヨークを選んだ。2011年以降、韓国、香港に他を伸ばし急速な事業拡大を図っていった、という。当時すでにシンガポールのアウトレットを知った周辺諸国から自国への進出の要望が寄せられていた。「シンガポールで大きな一歩を踏み出し、結果として周辺地域に波紋が広がるというマーケティングアプローチが成功した」と、山根氏は分析している。

 次なる市場はマレーシアだ。人口の70%がイスラム教徒であるため困難が予想されるが、豚肉を好む人口をターゲットに市場進出を狙う。今後3年間で5、6件の店舗オープンを視野に入れているものの、マレーシアでの事業拡大に明確な計画はないという。

 「店舗数ではなく、店舗ごとのリピーター数を重視。店舗数が多くも客数が少なければ意味がない」と語る。店を増やすのは容易だが、本当に大変なのは日々の運営だ。さらに多くの国へ進出する一方で、継続的に既存店舖の改善を図っていく。

 「ビジネスのトレンドはめまぐるしく変化する。常に最新のトレンドを気にかけておかなければならない」と山根氏は語った。

【ラーメンがパンに取って代わる!?】
 YAHOOニュースでは、ラーメンバーガーに続き、ラーメンホットサンドの登場を報じている。Dude Foodsブロガー、ニック・チップマン氏の創作だ。同氏はブログで、「外側はカリカリ、中は柔らかく麺の歯ごたえが楽しめる。溶けたチーズが麺の隙き間に広がるので、ホットサンドにはパンよりラーメンの方が適しているかもしれない」と、絶賛している。

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Text by NewSphere 編集部