田中投手、“今のところ”順調に活躍 松坂投手を反面教師に、米球界へ順応…米メディア分析

 田中将大投手がニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドルで契約し、現在6勝0敗、防御率2.17と期待通りの活躍を見せている。米国各メディアでもこの活躍の様子を伝えており、概して高評価を得ている。またこれまでの日本人メジャーリーガー(松坂大輔、ダルビッシュ有など)と比較した報道も多い。

【田中投手好調のベースにあるのは松坂投手の苦闘か】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、“今のところ田中は成功しているが…”との見出しで、田中投手と松坂投手を比較する記事を掲載。

 松坂大輔投手は2007年、レッドソックスと6年5200万ドルで契約した。これは海外メディアでも大々的に取り上げられ、国際的なニュースとなった。松坂は最初の2年間は通算33勝と好成績を残したが、その後は2009年から2012年で17勝と期待された成績を残すことはできていない。同記事は、この松坂投手の奮闘がその後の田中投手の成績につながっていると報じている。

 メジャーリーグの球団は、田中投手のスカウティングの際、松坂投手の苦闘の理由を分析した。体格、球の威力不足、ベースの端をかすめる投球スタイル、などだ。一方で、田中投手については、必要に応じて投じる速球、切れのあるスプリット、闘争心などが、メジャーリーグで成功する要因と分析されたという。

 さらに、同紙は、両選手の違いを、メジャーリーグに順応しようとする姿勢だと指摘。松坂はボストン・レッドソックス入団当初、日本式の練習方法にこだわったが、田中はメジャーリーグの方法を受け入れている。また、球団側も日米の違いを受け入れ、投手が適応しやすい環境づくりに配慮しているとしているという。

【田中投手とダルビッシュ投手、今後の活躍が続くか】
 もう一人日本人メジャーリーグ投手として忘れてはならないのはダルビッシュ有投手である。2012年にテキサス・レンジャースと6年6000万ドルで契約した。2012年は16勝9敗、防御率3.9、昨シーズンは13勝9敗、防御率2.83、今年はこれまで3勝2敗、防御率2.32である。昨シーズンはサイ・ヤング賞候補2位に挙げられるなどした。

 米ニュージャージー州のニュースサイト「NJ.com」はダルビッシュについて、フォーシームなど多彩な変化球を持つ投手で日本のスーパースターと紹介している。しかしその一方で、強打者のそろうメジャーリーガーは、1巡目こそ打ち取られたが、2巡目からはそのボールに適応しだしたと評価している。今後の活躍に期待して見守る必要がありそうだ。

 さらに同メディアでは田中投手に対し、ダルビッシュの例を挙げながら直接インタビューを行った模様である。その様子について田中自身のコメントとして、「バッターがどれだけ研究してこようとも、抑えるよう努力し、研究している」と報じた。また日本と同じような活躍を残せるかとの質問に対しては「自信がないのならアメリカに渡ることはしなかった」と、投球への自信を披歴したことも強調している。

 田中投手の次回登板は20日に敵地シカゴで行われる交流戦のカブス戦(日本時間21日午前9時5分開始予定)である。対カブス戦は田中投手にとっては2度目の対戦となり、ここでの結果が今後を占う試金石になりそうである。

【5/21追記】
 田中投手はカブス戦に先発し、6回4失点で降板。試合は1対6で敗れ、メジャー初黒星を喫した。日米合わせたレギュラーシーズンの連勝記録は34でストップとなった。

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Text by NewSphere 編集部