中国で根強い人気の「一休さん」、劇場版が公開 明の王女とトンチ対決など新シナリオ

 日本の往年の人気アニメ「一休さん」が中国でリメークされ、劇場版映画として4月末に公開された。卓球を描いた青春アニメ「ピンポン」も先月、日中同時放送がスタート。劇中登場する中国人選手に注目が集まるなど、中国で日本のアニメはなお根強い人気を見せている。

【中国でも放送の一休さん 「八十後」共通の記憶に】
 「一休さん」は禅寺の小坊主・一休さんが得意のとんちを使い、さまざまな難問を解いていく物語。室町時代の禅僧・一休宗済がモデルの逸話集「一休咄(いっきゅうばなし)」などをベースにしている。日本では75~82年、全300話近くが放送された長寿アニメだった。

 中国でも80~90年代、吹替版が繰り返し放送された人気作品。中国のオンライン百科事典「百度百科」によると、「一休さん」は「中国で最も人気がある日本アニメの一つ」で、80年代生まれの総称「八十後」の「記憶の一部になっている」という。

【幼いころの思い出 懐かしくよみがえる】
 今回の映画の物語は、中国で作られたオリジナル。明朝の王女が登場し、「日本一の賢者」と知恵比べするため、来日して一休さんと勝負する。中国では5月1日に始まる労働節(メーデー)連休に先駆け、ファミリー層をターゲットに公開された。

 一休さんの物語は、中国の人々にも懐かしい記憶を思い起こさせたようだ。中国紙・揚州晩報は「幼いころに敬意を表して」と題する記事を掲載。「子供時代を思い出す時、『一休さん』の一場面とともに、宿題をせず両親に叱られていた自分の姿がよみがえる。あのころ座禅を組む格好をして、(一休さんがとんちを使うように)答えを出す遊びが流行した」と振り返った。

【強豪中国人に注目の「ピンポン」 決めぜりふにも共感】
 一方、中国では先月、同じく日本のアニメ「ピンポン」の日中同時放送がスタートした。原作は松本大洋の漫画で、2002年には日本で映画化もされている。今回のアニメ版には強豪の中国人留学生・孔文革が登場。90年代に活躍した実在の選手、孔令輝と馬文革を足して2で割った名前と推測されるため、中国の視聴者を喜ばせている。

 中国紙・環球時報(電子版)は「日本アニメ『ピンポン』にネチズン熱い議論、中国語のせりふが人気」と題する記事を掲載。「孔文革が話す流ちょうな中国語に視聴者は驚き、ライバルに対する決めぜりふも共感を呼んでいる」と伝えた。

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Text by NewSphere 編集部