“駅弁から会席料理まで” 世界で広がる和食への理解 素材のエッセンスを引き出す調理法など評価

 昨年12月、ユネスコは「和食」を無形文化遺産として登録した。とはいえ、これは、料理そのものが対象になっているわけではない。日本人が暮らしの中で伝統的に育んできた食習慣、食に対する姿勢などを、広く「和食」文化として捉えたものが、対象になっている。

 お役所言葉では、これを、「正月行事などの年中行事と密接に関わり、『自然の尊重』という日本人の精神を体現した、食に関する社会的慣習」と、いささか大仰に表現している。

 和食に込められた「日本人の精神」は、海外に伝わっているのだろうか。

【イギリスのトップシェフが和食に注目】
 ガーディアン紙は、イギリスの名だたるシェフのあいだで、“washoku”への本格的な理解が幕を上げようとしていることを伝える。「わたしたちは、和食の理解にかけては、まだはしごの一段目にいます。(しかし)ユネスコで登録されたことによって、理解のペースが加速するでしょう」と、あるシェフは述べる。

 ミシュランガイドで2つ星を獲得しているレストランのシェフは、会席料理について学ぶために、京都に招かれたことがある。彼は、自身のメニューに和食のアイディアを取り入れた。すなわち、塩や、バターなど脂肪分の使用を減らして、その代わり、だしを用いることにしたのだ(記事は、だしがどのようなものかも紹介している)。

 ユネスコの無形文化遺産登録への申請にあたっては、和食の特徴が、4つ挙げられていた。

・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
・栄養バランスに優れた健康的な食生活
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
・正月などの年中行事との密接な関わり

このシェフのアイディアは、その中の1つ、「栄養バランスに優れた健康的な食生活」を体現している、と言えるだろう。

【日本の食材の人気も増している】
 また別のシェフは、ロンドンで会席ディナーの提供を始めた。彼は東京で1ヶ月間、会席料理について学んだ。「日本料理の技を、直接目にするのは、驚きでした。彼らは食べ物に対して、まったく異なったアプローチをしています」「彼らは、素材のエッセンスを引き出すように教えられます」、と述べている。これは、和食の特徴のうち、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」にあたる。

 日本の食材の人気は、イギリスで徐々に高まっているという。あるイギリス人は、日本人の妻と、有機農法で日本野菜を作るNamaYasaiという農園を、2005年に立ち上げた。以来、業績は着実に伸びているという。

「どれほど多くのトップシェフが、日本の食材を使っているかを知れば、きっと驚くでしょう」と彼は語る。その日に食べるものをその日に収穫する、という日本の習慣を守っているおかげで、この農園の野菜はとびぬけてすばらしい味だと、あるシェフは語っている。

【“ふだんの和食”にも注目は広がるか】
 会席料理のように高級なものばかりが、和食ではない。

 アメリカのレジスター・シチズン紙は、弁当や定食、ラーメンなど、日本人がごく一般的に、毎日のように食べているメニューの魅力を紹介する記事を掲載した。

 日本庭園は、自然の美しさを狭い庭に要約したものだが、弁当も同様に、和食のエッセンスを小さな容器に要約している、と記事は語る。日本を訪れる旅行者に、電車の窓の景色を眺めながら、駅弁を食べることを勧めている。日本各地に、土地の名物を活かした、さまざまなご当地駅弁があることも紹介している。

 また、和食には、「一汁三菜」という伝統的な献立スタイルがあることを紹介し、それが1枚のトレイに乗って出されるのが定食だ、と述べている。日本にはたくさんの定食屋があることを紹介している。その中で、日本最大級の定食チェーンの一つ、大戸屋の社員の、定食は「母親が家族のために愛情込めて作る家庭料理の代わり」だ、という言葉を伝えている。

 弁当や定食が、日本の働く人たちのお腹を満たし、支えてきたことも、記事は伝えている。

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Text by NewSphere 編集部