正当か?不当か? 女子フィギュア金メダルをめぐる疑惑 海外メディアも見解分かれる

 ソチ冬季五輪は先日閉会したが、フィギュアスケート女子でロシアのソトニコワ選手が獲得した金メダルについて、その正当性を疑う声は依然消えない。

 韓国スケート連盟は国際スケート連盟(ISU)に調査を要請したと聯合ニュースは報じている。また、”Change.org” というオンライン署名プラットフォームでは、採点に対する調査・再審を求める署名が集められ、26日時点で200万筆を突破している。

【疑惑の根拠】
 ニュースサイトのワイヤーは、引き続きこの問題を追っており、非常に多くの反響を集めている。24日に掲載された記事は、疑惑の根拠として以下のような点を挙げて論じている。

1. ソトニコワ選手が審判員の一人とハグした
 この審判員はロシアスケート連盟の元会長の妻である。このような、審判員との不適切な関係を示唆する行動がソトニコワ選手には見られた。

2. 失敗がなければ、リプニツカヤ選手は技術点でキム選手とコストナー選手に勝っていた
 リプニツカヤ選手やソトニコワ選手の技術点には不自然に高いものがある。これは一ヶ月前に行われたヨーロッパ選手権のそれとはかけ離れたものだ。

3. キム選手の芸術点のスコアに、他と明らかに違うものが一つある
 キム選手の芸術点のスコアで、全ての要素の最低点を一人の審判員が付けるという不自然な現象があった。一方でソトニコワ選手の芸術点は非常に高かったが、ヨーロッパ選手権での彼女の成績はさほどではなかった。

4. この件に関して疑わしい審判員は最大で4人いる
 フィギュアスケートの採点では、最高点と最低点をつけた審判員の評価は集計から除外されるが、複数の審判員が協力することでこの対策を無効化することができる。

【正当な勝利とする意見の根拠】
 ニュースサイトのザ・ディプロマットは、ソトニコワ選手が少々のミスをした一方でキム選手の演技には目立ったミスはなかったとしつつも、現在の得点システムでは、より挑戦的なプログラムを選択した場合、少々のミスは取り返せるとする。

 また、キム選手については「2010年の五輪で優勝したときと同じようなスケーティングをした。この4年間に彼女は自身のゲームを進展させることもスポーツを先へ進めることもしていなかった。戦略的に、彼女は開始前に既に大きく遅れをとっていたのだ」とのヤフースポーツの記事を紹介している。

【結果は既に確定】
 スポニチによれば、ISU会長のチンクアンタ氏は、ISUとしては調査しないという考えを表明している。また、日刊スポーツの報道では、ロシアのムトコ・スポーツ相は、採点結果には常に疑問がつきまとうとし、「よくある反応だ。ジャッジの権限はロシアにはなく、ジャッジがルールに基づいて判断した結果だ」と述べている。

 いずれにしても、ISUの規則では異議申し立ては疑義が生じてから30分以内に行われなければならない。韓国が異議申し立てをした時点で2日以上が経過している。ワイヤーはISUのスポークスマンの「全てのISUメンバーは異議申し立てのルールを知っている」との言葉を報じている。

世紀の誤審 オリンピックからW杯まで (光文社新書)

Text by NewSphere 編集部