“レジェンド”葛西選手、初の銀に賞賛の声 海外では金メダリストより注目?

 ソチ五輪ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルで15日、日本の葛西紀明(41歳)(土屋ホーム)が139メートル、133.5メートルの合計277.4点で銀メダルを獲得した。優勝はポーランドのカミル・ストフ(278.7点)、3位はスロベニアのペテル・プレブツだった。

 7度目の五輪出場を果たした葛西は、20年前にリレハンメル(ノルウェー)大会の団体競技でオリンピック1個目のメダルを手にしている。

 葛西は、17日のノルディックスキー・ジャンプ団体にも出場が決まった。

【葛西選手、現役続行を明言】
 葛西紀明は、日本のスキージャンプ競技の歴史の中で最年長の選手だが、「こんな風に彼を紹介するのは相応しくないほど、いまだに第一線で活躍を続けている」と、ウォールストリート・ジャーナル紙は紹介している。

 葛西は22歳で、アルベールビルオリンピック(1992年、フランス)に五輪初出場。今回ソチで個人での銀が確定した直後、今後も競技を続ける決意を明らかにした。

 AFP通信は、彼の現役続行への意欲的な発言を取り上げている。「僕の年なら、引退も考えるべきだろう」「次のオリンピックで僕は45歳、さらにその次では49歳だ。でも、競技を続け技術を向上させることはまだまだできると思う。だから次のオリンピック出場も可能だろうね」と韓国・ピョンチョン(平昌)で開催される2018年のオリンピックへの出場を目指したいとしている。

 一方、優勝したストフは、現在26歳。「15年後には、きれいなビーチでくつろぎながら、引退後の人生を楽しむよ」と葛西のように40歳を超えて競技するつもりはないと話す。ただ、彼がなぜあきらめないのかも理解できるという。「自分の生涯で、何を求めるか、何を達成できたと判断するかによると思う」「彼がメダルを獲得して嬉しいし、祝福したい。欲しいものをついに手に入れたんだよね。紀明は素晴らしい人間で、偉大な挑戦者でもある。彼の今後の活躍にも大いに期待しているよ」「彼と競うことはとても光栄だし、彼と並んでメダリストとなれたことは幸せだ」と葛西に敬意を送っている。

【念願の個人競技メダル】
 メダルが確定した瞬間、葛西とストフはハグを交わした。二人は年の差15歳、得点1.3点差で金銀を分け合った。

 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、葛西は、個人種目でメダルがないことが、現役を続けさせる動機にもなっていた、と話したという。ニューヨーク・タイムズ紙は、葛西の「銀が確定したとき、不思議な気持ちだった」「現実だろうか、それとも夢なんじゃないかと考えてた」との発言を報じている。彼は、「長らくオリンピックで結果を出せなかった」「今日はとにかくやるべきことをやった。金が欲しかったが、でもまあ、これが今の僕の実力だ」と感想を述べたという。

 葛西は、1998年の長野オリンピックの直前に母親を亡くす経験をした。また、今回は妹が重病で入院している。彼は自身の活躍が、妹が病気を乗り越える力になればと話しているという。

不屈の翼-カミカゼ葛西紀明のジャンプ人生

Text by NewSphere 編集部